厚生労働行政推進調査事業費補助金(エイズ対策政策研究事業)
HIV感染症及びその合併症の課題を克服する研究班

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第4章 チーム医療に役立つ資料集

資料1)医療者が普段から備えておきたい援助的コミュニケーションスキルについて

図4-1 チーム医療に
際して必要な知識・技術・かまえ
図4-1 チーム医療に際して必要な知識・技術・かまえ

図4-2 コミュニケーションの
なかで相手が受け取るメッセージ
図4-2 コミュニケーションのなかで相手が受け取るメッセージ

図4-3 援助的
コミュニケーションの流れ

各専門に基づく支援や介入の成否は、当事者である患者がその介入を受け入れ、実践に移していくかどうかにかかっている。そして医療者と患者がどのような人間関係を築いているかによってもその効果は変化するものである。また、患者は周囲に理解者を得るまでには時間がかかることがあるため、医療者は心理的サポーターとして存在することも大切である。よって、期待する結果を実現するためには、医療者は専門知識や技術の基盤に、援助的な人間関係を築く能力が必須となる。

援助的なコミュニケーションとは、言語的・非言語的コミュニケーションのなかで、医療者が患者に対し、援助を目的とした意図的な人間関係でのコミュニケーションのことである。

(1)かかわり行動・態度

援助的なコミュニケーションは、何らかの問題状況が発生し、医療者が支援しようとするかかわり行動によって始まる。かかわり行動とは、医療者が自ら発している非言語的メッセージに気付き、患者を前にした在り方を効果的にする態度の視点である。

Mehrabian,A.(1968)の研究では、コミュニケーションのなかで相手が受け取るメッセージは、その55%が顔の表情や動作であり、38%が音声による特徴であった(図4-2参照)。そして、言語(話の内容)は7%に過ぎなかったとしている。正確な情報を提供しようとしていても、表情や動作、音声などに無自覚でいる場合、医療者が意図しなかったメッセージが伝わる可能性が高い。

よって、以下のポイントを参考に、医療者自身の態度を振り返り、援助的コミュニケーションの基盤を確かなものにする必要がある。

ポイント

Squarely
身もこころも向き合う
Open
姿勢もこころも開く(相手の価値観などが入り込む余地を作る)
Lean
身もこころも乗り出す
Eye
アイコンタクト(見つめることではない)
Relaxed
身もこころも安定すること
Volume
声量
Articulation
明瞭な発音
Pitch
音調(調子)
Emphasis
強調
Rate
速さ

(2)かかわり技法

観察と積極的な傾聴が基本である。傾聴とは、上記のかかわり行動に気をつけながら、患者の言語・非言語に注意を集中することである。傾聴を大切にする理由は、支援するために必要な情報は患者が持っているという発想にある。

また、傾聴には、医療者の価値判断をひとまず脇におき、保留することが求められる。

ポイント

Open question
開かれた質問(どのように応えるか患者にゆだねられた質問)
Closed
question
閉ざされた質問(「はい」「いいえ」のように応え方が限定された質問)
☆開かれた質問は患者の自発的な話を引き出す反面、あいまいで応えにくいという面もある。また、その逆に閉ざされた質問は的を絞った情報を得やすいが、得られる情報は狭く患者の話したいこととずれる場合がある。
Minimum
encouragement
最小限の励まし(うなずき、あいづち、繰り返しなど)
Paraphrasing
言いかえ(患者の言おうとしていることを医療者の言葉で言い換える)
Summarizing
要約(患者の言おうとしていることのポイントをおさえ、話の内容や思いを整理することを促す)
Reflection of
feeling
感情の反映(患者が語る話のなか(直接感情表現される場合もあれば、行動や経験を語ることで感情を表現している場合もある)の感情を言葉にして伝え、明確化を促したり共感的理解を示す)

(3)実行に向けての支援

主眼は患者の目標の達成に向かっての行動を支援することにある。上述の援助的コミュニケーションで支えながら、具体的目標を設定し、行動計画を練り、スケジュールをたて、実践していけるよう支援していく。その際、医療者の持っている知識や経験を例示する、パンフレットを用いるなど分かりやすい情報を提供することも大切になってくる。新たな情報は、患者の抱えている問題点を明確にしたり、どのように工夫し行動すればよいかの着想を支援する。

また、目標設定はより具体的に、より身近に設定し、行動計画を無理なく立てられるよう関わる点も大事である。そして、患者が実践する場合、その成果が上がればもちろんのこと、すぐに成果が上がらなくともまず実践しようとしたことだけでも賞賛に値する行動の変化だという認識を持ち、共感的理解と肯定的な評価をフィードバックすることも肝要である。

医療者の援助的コミュニケーションのなか、患者自身が自己の状況を探索し、理解すれば、自ずと次にとるべき行動や方略は思いつくことが多い。しかし、それでもなお方略が立てられなかったり、実践に躊躇したりする場合は、感情的なわだかまりがあることが多く、派遣カウンセラーや臨床心理士などのカウンセラーとの連携が望ましい。

ポイント

Stop
とどまる
Thinking
何が問題なのか、今までだったらどうしていたのか考える
Other(s)
ほかの方法はないのか、ほかの人だったらどうするのか想像する
Plan
& Practice
具体的にどのような行動をするのか計画をたて、実践してみる

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