V初回治療に用いる抗HIV薬の選び方

6.わが国で実際に使用されている抗HIV薬とARTの組み合わせ

 HIV診療の経験のある医師が実際にどのような薬剤を選択しているかについて、わが国の実態を紹介する。

 図V-2は、日笠らが毎年行っている「服薬援助のための基礎的調査」からのデータで、初回治療に処方された抗HIV薬の組み合わせを示している74)。好んで使われる薬剤の組み合わせが、時代とともに変化していることがわかる。ある程度まとまった症例数の処方状況として提示できる最新のものであるがこれすらも2020年3月までのデータであり、既に過去であることを認識して頂きたい。

 「ガイドライン」とは今わかっている範囲で最も良いと思われる治療方針を示すもので、明日以降も最も良いかどうかはわからない。もっと良い治療法が開発されれば、すぐに改訂される。抗HIV薬は今後もより効果が強く、より飲みやすく、より副作用が少ない薬剤の開発が予想される。さらに、どの薬剤を組み合わせるのが良いのかに関しても新しいデータが蓄積されていく。したがって、推奨薬剤は頻繁に変更されており、処方薬剤は時代によって図V-2に示すとおり大きな変動がある。

 一方において、ガイドラインにおける初回治療推奨薬が変わったとしても患者のアドヒアランスが良好でHIV-RNAが抑制されており問題となる副作用も生じておらず患者が変更を希望しない場合には今までの治療を当面継続することは間違いではない。

図V-2 わが国での初回ARTレジメンの変化
2016年から2020年までの割合グラフ。2016年のときn=765で、TDF+FTC+RALは約11%、TDF+FTC+DRV+RTVは約3%、TDF+FTC+EVG+cobiは約10%、TDF+FTC+DTGは約27%、ABC+3TC+DTGは約43%、その他が9.3%。2017年のときn=684で、TDF/TAF+FTC+RALは約11%、TDF/TAF+FTC+DRV+RTV/PCXは約3%、TDF/TAF+FTC+EVG+cobiは約19%、TDF/TAF+FTC+DTGは約23%、ABC+3TC+DTGは約38%、その他が9.3%。2018年のときn=673で、TDF/TAF+FTC+RALは約13%、TDF/TAF+FTC+DRV+RTV/PCXは約4%、TDF+FTC+EVG+cobiは約20%、TDF/TAF+FTC+DTGは約37%、ABC+3TC+DTGは約24%、その他が3.7%。2019年のときn=397で、TDF/TAF+FTC+RALは約19%、TAF+FTC+PCXは約6%、TAF+FTC+EVG+cobiは約18%、TDF/TAF+FTC+DTGは約40%、ABC+3TC+DTGは約15%、その他が1.5%。2020年のときn=420で、TDF/TAF+FTC+RALは約9%、TAF+FTC+PCXは約5%、TDF/TAF+FTC+DTGは約18%、ABC+3TC+DTGは約9%、TAF+FTC+BICは約53%、その他が7.1%。
日笠ら「抗HIV療法と服薬援助のための基礎的調査」(2020年 日本エイズ学会、抄録番号O-C6-8)より作成

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