最近、口の中にできたしこりや潰瘍が「ただの口内炎ではなく、梅毒の症状ではないか」と不安に感じる人が増えています。
実際に梅毒は近年、国内で感染者数が急増しており、東京都の2024年の患者報告数は最も多い3,760人となりました。
(参照:梅毒の流行状況(東京都 2006年~2024年のまとめ) | 東京都感染症情報センター)
梅毒による口内症状は、痛みやかゆみがないケースもあり、通常の口内炎と間違えやすいことが特徴です。
この記事では、梅毒と口内炎の違いや見分け方、検査の目安などを詳しく解説します。
心当たりがある方や、長引く口内の症状に悩んでいる方は、早めの判断と対策が重要です。
以下のチェック項目にいくつ当てはまるか確認してみましょう。
該当項目が多いほど、梅毒の可能性があるため注意が必要です。
チェック項目 | 症状の傾向 |
---|---|
口の中の潰瘍やしこりに痛みがない | 梅毒に多い症状 |
触ると硬いしこりのような感触がある | 梅毒の初期硬結の可能性 |
2週間以上経っても治らない | 梅毒が疑われる期間の目安 |
口以外にも発疹やただれがある (性器、手のひら、足の裏など) | 梅毒が全身に広がっている可能性 |
症状が出る前に性行為やキスの機会があった | 梅毒感染のリスクあり |
ヒリヒリする痛みがあり食事でしみる | 口内炎に多い症状 |
潰瘍が白っぽく丸い形で赤く腫れている | 一般的なアフタ性口内炎の特徴 |
症状が1週間程度で自然に改善してきた | 口内炎の可能性が高い |
当てはまる項目が4つ以上あれば、梅毒の可能性があるため早めの検査をおすすめします。
1〜3個でも不安な場合は、性病科や皮膚科などで相談をしましょう。
梅毒と口内炎の違いは?原因が性感染症か皮膚疾患かどうかにある
梅毒は性行為などを介して感染する性感染症であるのに対し、口内炎は主に免疫力の低下や物理的刺激などによって起こる炎症性の皮膚疾患です。
梅毒と口内炎は、感染経路と発症原因がまったく異なることが最大の違いです。
ここからは、それぞれの原因や症状の違いを詳しく解説します。
梅毒はトレポネーマ・パリダムが原因の性感染症
梅毒は、「梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)」という細菌が原因で発症する性感染症です。
感染者の体液や粘膜、皮膚病変との接触によって感染し、性行為やキスなどの濃厚な接触でもうつる可能性があります。
梅毒は、梅毒トレポネーマという病原体による感染症(人から人にうつる病気)で、感染すると全身に様々な症状を引き起こします。梅毒トレポネーマは口や性器などの粘膜や皮膚から感染するため、性的な接触(他の人の粘膜や皮膚に直接触ること)が主な感染経路となっています。
(引用元:梅毒患者が急増中!検査と治療であなた自身と大切な人、生まれてくる赤ちゃんを守ろう | 政府広報オンライン)
特に口の中にできる症状は、感染から約3週間で現れる「初期硬結」や「無痛性の潰瘍」などが代表的です。
これらの症状は痛みが少ないため、一般的な口内炎と区別がつきにくいことがあります。
口内炎は刺激や免疫低下が原因の皮膚疾患
口内炎は、物理的な刺激やストレス・栄養不足・免疫力の低下などが引き金となる、皮膚・粘膜の炎症性疾患です。
原因はウイルスや自己免疫異常によることもありますが、性感染症とは関係がありません。
口内炎は一般的に痛みを伴い、白っぽい潰瘍ができることが多く、食事や会話で違和感を覚えるのが特徴です。
口内炎であれば、通常は1〜2週間ほどで自然に治癒します。
梅毒と口内炎の見分け方は?痛みや硬さなどの症状を確認しよう

梅毒と口内炎を見分けるためには、痛みがあるかどうかや硬い感触があるかを確かめるのが重要です。
特に口内にできた潰瘍を触っても痛みがなく、硬いしこりがある場合は、梅毒の可能性があります。
梅毒と口内炎の違いまとめ
症状の特徴 | 梅毒の可能性あり | 口内炎の可能性あり |
---|---|---|
痛み | 痛みがないことが多い | ヒリヒリ・ズキズキと痛むことが多い |
硬さ・しこり | 初期硬結という硬いしこりができる | 柔らかく、しこりはない |
口以外の症状 | 梅毒は全身に症状が広がることがある | 基本的に口内のみに発生 |
症状の長さ | 治らない潰瘍は梅毒の可能性 | 多くは1〜2週間で自然治癒 |
見た目や感覚である程度の違いはありますが、梅毒の口内症状は痛みがないまま進行することもあります。
「治りが遅い」「しこりがある」「他の部位にも異変がある」といった場合には、注意が必要です。
とはいえ症状には個人差もあり、自己判断にはリスクが伴います。
不安がある場合は、早めに医療機関で梅毒の検査を受けることが安心につながります。
ここからはそれぞれの症状ごとの見分け方を、細かく解説します。
梅毒の初期硬結で硬いしこりができる
梅毒に感染した場合、口の中に「初期硬結」と呼ばれる触るとコリコリと硬いしこりが現れることがあります。
これは感染部位にできる無痛性の潰瘍(硬性下疳)で、表面がただれていることもあります。
痛みやかゆみを伴わないことが多いため、気づかれにくいのが特徴。
しこりの硬さが口内炎と異なり、まるで芯があるような感触である点も見分けるポイントです。
2週間以上経過しても治らないなら梅毒の可能性あり
一般的な口内炎であれば、1〜2週間以内に自然治癒するケースがほとんどです。
それに対し、梅毒による口内症状は2週間以上経過しても治らないことが多く、放置すると悪化していく傾向があります。
口内の異変が2週間以上続いている場合は、ただの口内炎ではなく、梅毒などの性感染症の可能性も考慮し、医療機関での検査をおすすめします。
口以外にも潰瘍や赤い湿疹が出ているなら梅毒の可能性あり
梅毒が進行すると、口の中だけでなく、性器・肛門・顔・手のひら・足の裏などに赤い発疹(バラ疹)や潰瘍が出現することがあります。
これらの症状も痛みやかゆみがなく、見落とされやすいのが特徴。
もし口内の症状に加えて、他の部位にも異変がある場合は、梅毒の可能性が高まるため、早めの受診が重要です。
痛みがあるなら口内炎の可能性が高い
梅毒のしこりや潰瘍は、痛みを伴わないケースが多いのに対し、一般的な口内炎は食事や会話の際にしみる・痛むといった自覚症状があります。
特に白くただれた部分に赤みやヒリヒリした感覚がある場合は、ストレスや刺激物によって起こるアフタ性口内炎の可能性が高いでしょう。
ただし痛みがなければ確実に梅毒ではないとは言い切れないため、症状の総合的な判断が必要です。
こんなときは梅毒の可能性あり!受診の目安とチェックリスト
口内炎と思っていた症状が実は梅毒だったといったケースが、近年増えています。
梅毒は初期症状が軽く見逃されやすいため、「自己判断で放置する」ことは危険です。
ここでは、医療機関への受診を検討すべき症状や行動歴をチェックリスト形式で解説します。
1週間以上続く硬いしこりや潰瘍があるか
一般的な口内炎は、数日から1週間程度で痛みが和らぎ、自然に治っていくのが通常です。
しかし、1週間以上たっても治らない硬いしこりや潰瘍がある場合、梅毒の初期症状である「硬性下疳(こうせいげかん)」の可能性があります。
このしこりは痛みがなく、触るとコリコリと硬い感触があるのが特徴。
自然に治ったように見えても、その後病状が進行することがあるため、早めの受診が大切です。
口内症状のほかに発疹やリンパ節の腫れがあるか
梅毒は進行すると、手のひら・足の裏・顔・体などに赤い発疹(バラ疹)が現れたり、リンパ節が腫れたりすることがあります。
口以外の部位にも進行する症状は、口内炎とは明らかに異なる梅毒特有のものです。
特に発疹がかゆみや痛みを伴わない場合は、梅毒によるものである可能性が考えられます。
口の症状だけでなく、体全体に異常がないかを観察することも重要です。
性行為など感染リスクが思い当たる行動をしたか
梅毒は主に性行為(膣性交・オーラルセックス)や、濃厚なキスなどで感染します。
症状が現れる数週間前に、コンドームなしの性行為や複数人との接触、風俗利用などがあった場合、感染の可能性が高まります。
「最近リスクのある行為をしたかも…」という心当たりがある方は、症状の有無にかかわらず一度検査を受けることをおすすめします。
口内炎の市販薬で治らず再発を繰り返すか
通常の口内炎は、市販の塗り薬やパッチなどで数日から1週間以内に改善していきます。
それにもかかわらず、何度も再発を繰り返す・薬が効かない・潰瘍の範囲が広がるといった症状が続く場合は要注意。
梅毒による潰瘍は見た目が軽度でも進行するリスクがあるため、自己判断で薬を使い続けるより、一度医療機関で検査を受けることが安心につながります。
梅毒かどうかは検査で判断!放置せずに早期発見につなげよう
口内炎に似た症状でも、梅毒の可能性が少しでもある場合は、自己判断せずに検査を受けることが何より大切です。
梅毒は早期に発見すれば治療可能な病気ですが、放置すると全身に影響を及ぼすこともあるため、少しでも不安がある方は早めの行動が重要です。
ここでは、梅毒の検査方法や注意点について詳しく解説します。
梅毒は血液検査による抗体検査で判定できる
梅毒の診断には、血液検査による抗体検査が一般的です。
採血をして、体内に梅毒の原因菌(トレポネーマ・パリダム)に対する抗体があるかを調べる方法で、保健所・性病科・皮膚科などの医療機関で検査が可能です。
検査方法には主に「TPHA法」「RPR法」などがあり、梅毒の感染有無だけでなく、現在進行中の感染か、過去の感染かを見分けることもできます。
また症状がなくても検査は受けられるため、「気になる行為をしたかも…」という時点での受診も推奨されます。
検査で梅毒が反応するのは感染から3週間後が目安
梅毒は感染直後に検査を受けても、体内で抗体が十分にできておらず、陰性となってしまう可能性があります。
梅毒検査をいつからすればいいのか迷っている人は、感染の可能性がある行為から3週間以上経過してからの検査が推奨されます。
ただし症状がすでに出ている場合(しこりや発疹など)は、感染からの経過が進んでいる可能性があるため、早めの受診でも正確な結果が得られる場合もあります。
梅毒を放置したままにすると重症化するリスクがある
梅毒は自然に治ったように見える期間があるため、「放っておけば治るのでは?」と考える方もいますが、放置するのはリスクが大きいです。
実際には症状が一時的に消えても菌は体内に潜伏しており、放置すると第2期・第3期と病状が進行していきます。
進行すると皮膚症状の悪化や内臓・神経・脳へのダメージが起こることがあり、重症化すると治療が困難になるケースもあります。
また他人への感染リスクも長期にわたって続くため、早期発見・早期治療が重要です。
病院へ行く時間がない人は郵送の検査キットも選べる
「病院に行く時間がない」「誰にも知られたくない」といった方には、自宅で検体を採取して送付できる「郵送の性病検査キット」の利用もおすすめです。
最近では、梅毒に対応した匿名利用可能な性病検査キットが多数販売されており、結果はWEBで確認できるものもあります。
ただし購入する検査キットによって、検査対応の項目が異なります。
検査対象に梅毒が入っているかを確認してから、購入しましょう。
梅毒と口内炎の治療法は?それぞれに合った正しい対処法を確認
口の中にできたしこりや潰瘍が梅毒か口内炎かで、必要な治療法は大きく異なります。
梅毒の場合は医療機関での早期診断と抗菌薬による治療が不可欠ですが、口内炎であれば市販薬や生活習慣の見直しでも改善が可能です。
自己判断で間違った対処をすると症状が悪化する恐れもあるため、正しい知識を持って対応をしましょう。
梅毒の治療にはペニシリン系などの抗生物質が必要
梅毒の治療は、病原菌トレポネーマ・パリダムを体内から除去するために、抗生物質を使用するのが基本です。
第一選択薬としては、ペニシリン系抗生物質(例:ベンザチンベンジルペニシリン)が多く用いられ、症状の進行度(第1期〜第4期)に応じて投与量や期間が異なります。
第1期(感染初期)では、1回または短期間の注射や内服治療で完治することが多いです。
第2期以降になると、数週間から数ヶ月にわたる治療が必要になるケースも。
ペニシリンアレルギーがある場合は、テトラサイクリン系やセフェム系の抗菌薬が処方されることもあります。
また治療中・治療後も、定期的な血液検査による経過観察が必要です。
パートナーと一緒に検査・治療を行って、対処をしましょう。
口内炎の治療は市販薬や生活改善が中心!自然治癒する場合も多い
一方、口内炎の治療では、軽度であれば特別な処置をせず自然治癒するケースがほとんどです。
ただし、痛みが強い・食事に支障がある・繰り返し発症する場合は、以下のような対処法が有効です。
- 口内炎用の市販薬(軟膏、パッチ、うがい薬など)で炎症を抑える
- ビタミンB群・Cを含む栄養補給やサプリメントの摂取
- 口腔内を清潔に保ち、刺激の強い食べ物(熱い・辛い)を避ける
- ストレス・睡眠不足を改善して免疫力を高めることも重要
また、アフタ性ではないウイルス性(ヘルペス)やカンジダ性口内炎の可能性もあるため、症状が長引く場合は口腔外科や内科での診察も検討しましょう。
梅毒の感染に関するよくある質問に回答
梅毒の感染経路や検査方法については、誤解や不安を持つ方も多く、「自分は大丈夫かな?」と感じながらも、誰かに聞きにくい疑問を抱えているケースも少なくありません。
ここでは、梅毒に関するよくある質問にわかりやすく回答します。
梅毒か口内炎か見分けられないなら性病検査キットで早めの検査がおすすめ
口の中にできた潰瘍やしこりが、梅毒なのか単なる口内炎なのかは、見た目や症状だけでは判断が難しいことも多いです。
この記事では見分け方について詳しく解説しましたが、自分で確実に違いがわかるとは限らないため、不安な場合はしっかり検索を受けるのがおすすめ。
特に梅毒は、痛みが少なく自覚しにくい初期症状が多いため、知らないうちに進行してしまうこともあります。
「病院に行く時間がとれない」といった方には、オンラインでの注文に対応しており、自宅で誰にも知られずに検査ができる「性病検査キット」の利用がおすすめ。
- 自宅で採血・返送するだけでOK
- 匿名での利用やWEBで結果確認が可能
- 病院へ行く前のスクリーニングとしても活用できる
- 早期発見・早期治療につながる
早めの検査で不安を解消し、必要であれば早期治療にもつながります。
もし口内症状に少しでも違和感がある方は、まずは性病検査キットを利用して自分の状態を確認してみてください。
参考文献