ジャルカ配合錠の添付文書
- 商品名:
- ジャルカ配合錠
- 一般名:
- ドルテグラビルナトリウム・
リルピビリン塩酸塩 - 略称 :
- 略称なし

添付文書の読み方
ここで提供している添付文書情報は、2018年11月現在の各医薬品の添付文書を基に作成したものです。書式等については、実際の添付文書と異なるところがあります。添付文書情報は随時更新されます。ご使用の際は、必ず最新の添付文書をご覧下さい。→ PMDA
また、記載されている内容には、専門的な情報が含まれています。文書内の、
この色の文字をクリックすると、別ウィンドウに読み方のアドバイスが表示されます。
この色の文字をクリックすると、別ウィンドウに重大な副作用の解説が表示されます。
この色の文字をクリックすると、別ウィンドウに副作用の症状とその類似語、定義の解説が表示されます。
記載されている情報をご覧になり、疑問などを持たれた場合は、医師・薬剤師にご相談ください。
ジャルカ配合錠
Juluca Combination Tablets
ドルテグラビルナトリウム・リルピビリン塩酸塩
2018年11月作成 (第1版)
- 日本標準商品分類番号
- 87625
- 規制区分
- 劇薬、処方箋医薬品(注意-医師等の処方せんにより使用すること)
- 貯法
- 室温保存
- 使用期限
- 包装に表示
承認番号 | 23000AMX00836000 |
---|---|
薬価収載 | 2018年12月 |
販売開始 | 2018年12月 |
国際誕生 | 2017年11月 |
【禁忌(次の患者には投与しないこと)】
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- リファンピシン、カルバマゼピン、フェニトイン、ホスフェニトイン、フェノバルビタール、セイヨウオトギリソウ(St. John’s Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品、デキサメタゾン全身投与(単回投与を除く)、プロトンポンプ阻害剤(オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、エソメプラゾール、ボノプラザンフマル酸塩)を投与中の患者[「相互作用」の項参照]
【組成・性状】
1.組成
成分・含量 | 1錠中にドルテグラビルナトリウム52.62mg(ドルテグラビルとして50mg)、リルピビリン塩酸塩27.50mg(リルピビリンとして25mg)を含有する。 |
---|---|
添加物 | D-マンニトール、結晶セルロース、ポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、乳糖水和物、クロスカルメロースナトリウム、ポリソルベート20、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、ポリビニルアルコール(部分けん化物)、酸化チタン、マクロゴール4000、タルク、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄 |
2.性状
本剤は楕円形の帯紅白色のフィルムコート錠で識別コード及び形状は下記のとおりである。
販売名 | ジャルカ配合錠 |
---|---|
識別コード | SV J3T |
表(直径) | ![]() 長径:約14.3mm 短径:約7.2mm |
裏 | ![]() 約5.7mm |
側面(厚さ) | ![]() |
質量 | 515mg |
【効能・効果】
HIV-1感染症
[効能・効果に関連する使用上の注意]
- 本剤は、ウイルス学的失敗の経験がなく、切り替え前6ヵ月間以上においてウイルス学的抑制(HIV-1 RNA量が50copies/mL未満)が得られており、本剤の有効成分に対する耐性関連変異を持たず、本剤への切り替えが適切であると判断される抗HIV薬既治療患者に使用すること(「臨床成績」の項参照)。
- 本剤による治療にあたっては、患者の治療歴及び可能な場合には薬剤耐性検査(遺伝子型解析あるいは表現型解析)を参考にすること。
【用法・用量】
通常、成人には1回1錠(ドルテグラビルとして50mg及びリルピビリンとして25mg)を1日1回食事中又は食直後に経口投与する。
[用法・用量に関連する使用上の注意]
- 本剤による治療は、抗HIV療法に十分な経験を持つ医師のもとで開始すること。
- 本剤の有効成分であるドルテグラビルを含有する製剤と併用しないこと。本剤とリファブチンを併用する場合は、リルピビリン製剤を1回25mg1日1回併用すること。なお、リファブチンの併用を中止した場合は、リルピビリン製剤の投与を中止すること(「重要な基本的注意」、「相互作用」及び「薬物動態」の項参照)。リルピビリンを含有する製剤は、リファブチン併用時以外は併用しないこと。
【使用上の注意】
1.慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
- 不整脈を起こしやすい患者(低カリウム血症、著しい徐脈、急性心筋虚血、うっ血性心不全、先天性QT延長症候群等)又はQT延長を起こすことが知られている薬剤を投与中の患者[リルピビリン75mg及び300mg投与時にQT延長が認められており、これらの患者ではQT延長により不整脈が発現するおそれがある(「相互作用」及び「薬物動態」の項参照)。]
- B型又はC型肝炎ウイルス重複感染患者[肝機能の悪化のおそれがある(「重要な基本的注意」の項参照)。]
2.重要な基本的注意
- 本剤はドルテグラビル及びリルピビリンの固定用量を含有する配合剤であるので、リルピビリンの用量調節が必要な患者には個別のリルピビリン製剤(エジュラント錠)を用いること。なお、リルピビリン製剤の使用にあたっては、製品添付文書を熟読すること。
- 本剤の使用に際しては、患者又は患者に代わる適切な者に、次の事項についてよく説明し同意を得た後、使用すること。
- 本剤はHIV感染症の根治療法薬ではないことから、日和見感染を含むHIV感染症の進展に伴う疾病を発症し続ける可能性があるので、本剤投与開始後の身体状況の変化については、すべて担当医に報告すること。
- 本剤は併用薬剤と相互作用を起こすことがあるため、服用中のすべての薬剤を担当医に報告すること(「相互作用」の項参照)。また、本剤で治療中に新たに他の薬剤を服用する場合には、事前に担当医に報告すること。
- 本剤の長期投与による影響については、現在のところ不明であること。
- 本剤が、性的接触又は血液汚染等による他者への感染の危険性を低下させるかどうかは証明されていないこと。
- 担当医の指示なしに用量を変更したり、服用を中止したりしないこと。
- 本剤は、HIV-1感染症に対して1剤で治療を行うものであるため、リファブチン併用時を除き他の抗HIV薬と併用しないこと。リファブチン併用時にはリルピビリン製剤を併用すること(「用法・用量に関連する使用上の注意」、「相互作用」及び「薬物動態」の項参照)。
- 抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で、免疫再構築炎症反応症候群が報告されている。投与開始後、免疫機能が回復し、症候性のみならず無症候性日和見感染症(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス、サイトメガロウイルス、ニューモシスチス等によるもの)等に対する炎症反応が発現することがある。また、免疫機能の回復に伴い自己免疫疾患(甲状腺機能亢進症、多発性筋炎、ギラン・バレー症候群、ブドウ膜炎等)が発現するとの報告があるので、これらの症状を評価し、必要時には適切な治療を考慮すること。
- 肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、定期的に肝機能検査を行う等、観察を十分に行うこと。なお、ドルテグラビル及びリルピビリンを併用投与した臨床試験において、C型肝炎ウイルス重複感染患者では、肝機能検査値上昇の発現頻度が非重複感染患者より高かった。ドルテグラビル単剤の臨床試験において、B型及びC型肝炎ウイルス重複感染患者では、トランスアミナーゼ上昇又は増悪の発現頻度が非重複感染患者より高かった。また、リルピビリン単剤の臨床試験において、B型及びC型肝炎ウイルス重複感染患者では、肝臓関連有害事象(臨床検査値異常を含む)の発現頻度が非重複感染患者より高かった。
- 抗HIV薬の使用により、体脂肪の再分布/蓄積があらわれることがあるので、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
3.相互作用
ドルテグラビルは主にUGT1A1で代謝され、一部CYP3A4でも代謝される。また、ドルテグラビルは有機カチオントランスポーター2(OCT2)及びMultidrug and Toxin Extrusion1(MATE1)を阻害する。リルピビリンは主にCYP3Aにより代謝される(「薬物動態」の項参照)。
(1)併用禁忌(併用しないこと)
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
---|---|---|
リファンピシン アプテシン リファジン等 |
ドルテグラビル及びリルピビリンの血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある(「薬物動態」の項参照)。 | これらの薬剤のCYP3A4及びUGT1A1誘導作用により、ドルテグラビルの代謝が促進される。また、CYP3A4誘導作用により、リルピビリンの代謝が促進される。 |
カルバマゼピン テグレトール フェニトイン アレビアチン等 ホスフェニトイン ホストイン フェノバルビタール フェノバール等 |
ドルテグラビル及びリルピビリンの血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある(「薬物動態」の項参照)。 | |
セイヨウオトギリソウ(St.John's Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 | ||
デキサメタゾン全身投与(単回投与を除く) デカドロン等 |
リルピビリンの血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。 | デキサメタゾンのCYP3A誘導作用により、リルピビリンの代謝が促進される。 |
プロトンポンプ阻害剤 オメプラゾール オメプラール オメプラゾン等 ランソプラゾール タケプロン等 ラベプラゾール パリエット等 エソメプラゾール ネキシウム ボノプラザンフマル酸塩 タケキャブ等 |
リルピビリンの血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある(「薬物動態」の項参照)。 | 胃内のpH上昇により、リルピビリンの吸収が低下する。 |
(2)併用注意(併用に注意すること)
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
---|---|---|
ピルシカイニド | ピルシカイニドの血中濃度を増加させる可能性がある。併用により、ピルシカイニドで重大な副作用として報告されている心室頻拍、洞停止及び心室細動等の発現及び重篤化があらわれるおそれがある。 | ドルテグラビルのOCT2及びMATE1の阻害作用により、ピルシカイニドの排出が阻害される可能性がある。 |
制酸剤、多価カチオン含有製剤 乾燥水酸化アルミニウムゲル 沈降炭酸カルシウム等 |
ドルテグラビル及びリルピビリンの血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。本剤は制酸剤、多価カチオン含有製剤投与の4時間以上前又は6時間以上後に投与すること(「薬物動態」の項参照)。 | 胃内のpH上昇により、リルピビリンの吸収が低下する。錯体を形成することにより、ドルテグラビルの吸収が阻害される。 |
鉄剤、カルシウム含有製剤(サプリメント等) | ドルテグラビルの血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。食事と同時に摂取する場合を除き、本剤は鉄剤、カルシウム含有製剤投与の4時間以上前又は6時間以上後の投与が推奨される(「薬物動態」の項参照)。 | 鉄、カルシウムと錯体を形成することにより、ドルテグラビルの吸収が阻害される。 |
メトホルミン | ドルテグラビルがメトホルミンの血中濃度を上昇させる。注意深く観察し、必要に応じてメトホルミンを減量する等慎重に投与すること(「薬物動態」の項参照)。 | ドルテグラビルのOCT2及びMATE1の阻害作用により、メトホルミンの排出が阻害される可能性がある。 |
リファブチン | リルピビリンの血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。本剤とリファブチンを併用する場合は、本剤の投与と同時にリルピビリン単剤25mg1日1回を追加して投与すること(「用法・用量に関連する使用上の注意」、「重要な基本的注意」及び「薬物動態」の項参照)。 | リファブチンのCYP3A誘導作用により、リルピビリンの代謝が促進される。 |
H2遮断剤 ファモチジン シメチジン ニザチジン ラニチジン |
リルピビリンの血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。本剤はH2遮断剤投与の4時間以上前又は12時間以上後に投与すること(「薬物動態」の項参照)。 | 胃内のpH上昇により、リルピビリンの吸収が低下する。 |
クラリスロマイシン エリスロマイシン |
リルピビリンの血中濃度が上昇する可能性がある。代替としてアジスロマイシン等を考慮すること。 | これらの薬剤のCYP3A阻害作用により、リルピビリンの代謝が阻害される。 |
メサドン | リルピビリンがメサドンの血中濃度を低下させることがある(「薬物動態」の項参照)。 | 機序不明 |
QT延長を起こすことが知られている薬剤 アミオダロン ソタロール等 |
QT延長、心室性頻拍(Torsades de Pointesを含む)が発現するおそれがある。 | リルピビリン75mg及び300mg投与時にQT延長が認められている(「薬物動態」の項参照)。 |
<抗HIV薬との相互作用>
1. 非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
---|---|---|
エファビレンツ エトラビリン ネビラピン |
ドルテグラビル及びリルピビリンの血中濃度を低下させる可能性がある(「薬物動態」の項参照)。 | これらの薬剤のCYP3A4及びUGT1A1誘導作用により、ドルテグラビルの代謝が促進される。また、これらの薬剤のCYP3A4誘導作用により、リルピビリンの代謝が促進される。 |
2. プロテアーゼ阻害剤(PI)
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
---|---|---|
ホスアンプレナビル/リトナビル | ドルテグラビルの血中濃度を低下させる。また、リルピビリンの血中濃度が上昇する可能性がある(「薬物動態」の項参照)。 | ホスアンプレナビルのCYP3A4及びUGT1A1誘導作用により、ドルテグラビルの代謝が促進される。また、ホスアンプレナビル/リトナビルのCYP3A阻害作用により、リルピビリンの代謝が阻害される。 |
ダルナビル/リトナビル | ダルナビル/リトナビル800/100mgを1日1回併用した時、リルピビリンのCmax及びAUCがそれぞれ79%及び130%増加した(「薬物動態」の項参照)。 | ダルナビル/リトナビルのCYP3A阻害作用により、リルピビリンの代謝が阻害される。 |
ロピナビル/リトナビル | ロピナビル/リトナビル400/100mgを1日2回併用した時、リルピビリンのCmax及びAUCがそれぞれ29%及び52%増加した(「薬物動態」の項参照)。 | ロピナビル/リトナビルのCYP3A阻害作用により、リルピビリンの代謝が阻害される。 |
4.副作用
第III相海外臨床試験(SWORD-1:201636試験)において、ドルテグラビル50mg及びリルピビリン25mgが1日1回併用投与された総症例252例中47例(19%)に臨床検査値異常を含む副作用が報告された。その主なものは、腹部膨満5例(2%)、頭痛5例(2%)、疲労5例(2%)であった(承認時)。
第III相海外臨床試験(SWORD-2:201637試験)において、ドルテグラビル50mg及びリルピビリン25mgが1日1回併用投与された総症例261例中50例(19%)に臨床検査値異常を含む副作用が報告された。その主なものは、頭痛6例(2%)、鼓腸5例(2%)、下痢4例(2%)、浮動性めまい4例(2%)であった(承認時)。
(1)重大な副作用注1)
- 1)薬剤性過敏症症候群(頻度不明注2))
- 初期症状として発疹、発熱がみられ、さらに肝機能障害、リンパ節腫脹、好酸球増多等を伴う遅発性の重篤な過敏症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、投与中止後も発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意すること。注1)
- 2)肝機能障害(1%未満)、黄疸(頻度不明注2))
- AST、ALT、ビリルビンの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。注1)
(2)その他の副作用注1)
2%以上 | 1〜2%未満 | 1%未満 | 頻度不明注2) | |
---|---|---|---|---|
免疫系 | 免疫再構築炎症反応症候群 | |||
代謝 | 食欲減退 | |||
精神・神経系 | 頭痛 | 不眠症、異常な夢、浮動性めまい | うつ病、睡眠障害、自殺念慮/自殺企図、抑うつ気分、傾眠、不安 | |
消化器 | 下痢 | 悪心、鼓腸 | 腹痛、上腹部痛、腹部不快感 | 嘔吐 |
肝臓 | 肝炎 | |||
皮膚 | 発疹、そう痒 | |||
全身症状 | 疲労 | |||
筋骨格 | 関節痛 | 筋肉痛 | ||
臨床検査 | 体重増加 | トランスアミナーゼ上昇、血清クレアチニン増加、総ビリルビン増加、クレアチンホスホキナーゼ増加 |
- 注1)副作用の頻度については、第III相海外臨床試験(SWORD-1及びSWORD-2)の成績に基づき記載した。
- 注2)第III相海外臨床試験(SWORD-1及びSWORD-2)以外から報告された副作用は頻度不明とした。
5.高齢者への投与
本剤の高齢者における薬物動態データは限られている。一般に高齢者では生理機能(肝機能、腎機能、心機能等)が低下しており、合併症を有している又は他の薬剤を併用している場合が多いので、患者の状態を観察しながら注意して投与すること。
6.妊婦、産婦、授乳婦等への投与
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与するが、妊娠初期は投与しないことが望ましい。妊娠可能な女性には、本剤投与開始前に妊娠検査や問診などにより妊娠していないことを確認すること。また、本剤投与期間中及び投与終了後一定期間は適切な避妊法を用いるよう指導すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。海外で進行中の観察研究において、無脳症や二分脊椎などの神経管閉鎖障害が、受胎前からドルテグラビル含有製剤を服用していた妊婦から生まれた児426例中4例(0.94%)に報告されており、ドルテグラビルを含まない抗HIV薬を服用していた妊婦から生まれた児11300例中14例(0.12%)に報告されている1)。ドルテグラビルは動物試験(ラット)で胎盤移行が認められている2)。]
- 本剤投与中は授乳を中止させること。[ドルテグラビル及びリルピビリンはヒトの乳汁中に移行するか否かは不明である。
ドルテグラビル2)及びリルピビリンのいずれも動物試験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。また、一般に乳児へのHIV感染を防ぐため、あらゆる状況下においてHIVに感染した女性は授乳をすべきでない。] - 妊娠中期及び妊娠後期の妊婦にリルピビリンを投与した時、出産後と比較し、リルピビリンの血中濃度低下が認められている(「薬物動態」の項参照)。
7.小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない。
8.過量投与
- 徴候・症状
- 過量投与によるデータは限られている。臨床試験においてドルテグラビルは1回250mgまで健康成人に投与されたが、予測できない副作用は報告されていない。また、リルピビリン75mg及び300mg投与時にQT延長が認められている(「薬物動態」の項参照)。
- 処置
- 本剤の過量投与に対して特別な治療法はない。過量投与の場合には、バイタルサイン、心電図(QT間隔)及び臨床症状を注意深く観察し、必要に応じて適切な支持療法を行うこと。必要に応じて胃洗浄、活性炭の投与を行う。ドルテグラビル及びリルピビリンは高い蛋白結合率を有するため、血液透析により除去できる可能性は低い。
【薬物動態】
<日本人における成績>
1. ドルテグラビル単独投与での成績3)
日本人健康成人男性(6例)及び女性(4例)にドルテグラビル50mgを単回経口投与した時の血漿中ドルテグラビル濃度推移を図-1に、ドルテグラビルの薬物動態パラメータを表-1に示す。ドルテグラビルは投与後約3時間で最高血漿中濃度に達し、消失半減期は約15時間であった。

Cmax (μg/mL) |
Tmax (h) |
AUC0-inf (μg・h/mL) |
t1/2 (h) |
C24 (μg/mL) |
---|---|---|---|---|
2.37±1.23 | 3.0(2.0-4.0) | 47.7±24.6 | 14.7±1.56 | 0.73±0.36 |
平均値±標準偏差(10例)、Tmax:中央値(範囲)
2. リルピビリン単独投与での成績4)
健康成人にリルピビリン25mgを食後に単回経口投与した時、血漿中リルピビリン濃度は投与後5時間(中央値)に最高血漿中濃度[144.3ng/mL(平均値)]に達し、約43時間(平均値)の消失半減期で消失した。平均AUC0-infは4542ng・h/mLであった(表-2及び図-2)。

Cmax (ng/mL) |
Tmax (h) |
AUC0-inf (ng・h/mL) |
t1/2 (h) |
---|---|---|---|
144.3±49.66 | 5.00(2.00〜6.00) | 4542±2001 | 43.0±10.9 |
平均値±標準偏差(8例)、Tmax:中央値(範囲)
<外国人における成績>
1. 吸収
(1)健康成人
健康成人113例に本剤(ドルテグラビル/リルピビリン50mg/25mg)を単回経口投与した時の血漿中ドルテグラビル及び血漿中リルピビリン濃度推移を図-3及び図-4に、血漿中ドルテグラビル及びリルピビリンの薬物動態パラメータを表-3に示す5)。


Cmax (μg/mL) |
Tmax (h) |
AUC0-inf (μg・h/mL) |
t1/2 (h) |
|
---|---|---|---|---|
ドルテグラビル | 3.7±0.6 | 3.0(0.5〜6.0) | 66.9±16.0 | 14.8±3.1 |
リルピビリン | 0.1±0.03 | 4.0(1.0〜9.0) | 3.5±1.4 | 55.8±21.8 |
平均値±標準偏差(113例)、Tmax:中央値(範囲)
ドルテグラビルは経口投与により速やかに吸収され、投与後約3時間で最高血漿中濃度に達した。
リルピビリンは経口投与後約4時間で最高血漿中濃度に達した。
(2)本剤投与時と各単剤投与時の曝露量の比較
健康成人(113例)に本剤(ドルテグラビル/リルピビリン50mg/25mg)とドルテグラビル(50mg)及びリルピビリン(25mg)を食後に単回経口投与し、単剤併用投与時と配合剤投与時の曝露量を比較した。本剤投与時のAUC0-t及びCmaxは、単剤併用投与時と比較してドルテグラビルではそれぞれ約4%及び約5%増加し、リルピビリンでは約11%及び約12%増加した。本剤投与時とドルテグラビル単剤及びリルピビリン単剤の併用投与時のドルテグラビル及びリルピビリンのAUC0-t及びCmaxは、生物学的同等性の判定基準(平均値の比の90%信頼区間が0.80〜1.25の範囲内)を満たした5)。
(3)成人HIV感染症患者
1)ドルテグラビル単独投与での成績
成人HIV感染症患者における後期第II相及び第III相試験の母集団薬物動態解析で推定した定常状態におけるドルテグラビルの薬物動態パラメータを表-4に示す。
パラメータ | ドルテグラビル50mg1日1回 |
---|---|
AUC0-24(μg・h/mL) | 53.6(27) |
Cmax(μg/mL) | 3.67(20) |
Ctau(μg/mL) | 1.11(46) |
母集団薬物動態解析に基づく推定値
幾何平均(CV%)
2)リルピビリン単独投与での成績
抗HIV薬による治療経験のないHIV-1感染症患者に、リルピビリン25mgを1日1回反復経口投与した第III相試験(C209及びC215試験)の成績を用いた母集団薬物動態解析より得た血漿中リルピビリンの薬物動態パラメータ(96週時におけるベイズ推定値)を表-5に示す。
パラメータ | 平均値±標準偏差 | 中央値(範囲) |
---|---|---|
AUC0-24(ng・hr/mL) | 2235±851 | 2096(198〜7307) |
C0(ng/mL) | 78±35 | 73(2〜288) |
母集団薬物動態解析に基づく96週時におけるベイズ推定値
(4)食事の影響
本剤を食後に投与した時、ドルテグラビル及びリルピビリンの曝露量が増加した。空腹時と比べて中及び高脂肪食では、ドルテグラビルのAUC(0-inf)は約87%、Cmaxは約75%及び約72%増加し、リルピビリンのAUC(0-inf)は約57%及び72%、Cmaxは89%及び117%増加した。
2. 分布
(1)ドルテグラビル単独投与での成績
ドルテグラビルのヒト血漿蛋白結合率は約99.3%であった(in vitro)7)。
血漿中ドルテグラビルの遊離分画は健康成人で約0.2〜1.1%、中等度の肝機能障害患者で約0.4〜0.5%、重度の腎機能障害患者で約0.8〜1.0%、HIV感染症患者で0.5%であった。健康成人男性にドルテグラビル20mg(懸濁液)を単回経口投与した時の見かけの分布容積は12.5Lであった。血液/血漿比(平均値)は0.441〜0.535であり、ドルテグラビルの血球移行率は低かった(5%未満)。
ドルテグラビルは脳脊髄液中にも分布する。ドルテグラビル50mg及びアバカビル/ラミブジン(600/300mg)が併用投与された抗HIV薬による治療経験のない成人HIV感染症患者(11例)において、ドルテグラビルの脳脊髄液中濃度(中央値)は18ng/mLであり、血漿中濃度の0.11〜0.66%であった。
ドルテグラビルは女性及び男性の生殖器に分布する。健康成人女性にドルテグラビル50mg/日を5〜7日間経口投与した時の子宮頸膣液、子宮頸部組織及び膣組織におけるドルテグラビルのAUCは定常状態での血漿中ドルテグラビルのAUCの6〜10%であった。また、健康成人男性にドルテグラビル50mg/日を8日間経口投与した時の精液及び直腸組織におけるドルテグラビルのAUCは定常状態での血漿中ドルテグラビルのAUCの7及び17%であった。
(2)リルピビリン単独投与での成績
リルピビリンのヒト血漿蛋白結合率は約99.7%(in vitro)であり、主にアルブミンに結合した(平衡透析法)8)。
3. 代謝
(1)ドルテグラビル単独投与での成績
In vitro試験で、ドルテグラビルは主にUGT1A1で、一部UGT1A3、UGT1A9でグルクロン酸抱合された9)。また、ドルテグラビルはCYP3A4でも一部代謝され10)、健康成人に14C-ドルテグラビル20mg(懸濁液)を単回経口投与した時の総投与量の約9.7%が酸化的代謝物として尿糞中に回収された。
(2)リルピビリン単独投与での成績
In vitro試験で、リルピビリンは主にCYP3Aにより代謝された11)。
4. 排泄
(1)ドルテグラビル単独投与での成績
健康成人にドルテグラビル20mgを単回経口投与した時の主な排泄経路は糞であり、経口投与量の53%が未変化体として糞中に排泄された。また、尿中には経口投与量の31%が排泄され、その内訳は18.9%がエーテル型グルクロン酸抱合体、3.6%がN-脱アルキル体、3.0%がベンジル位の酸化体であり、未変化体は1%未満であった。
(2)リルピビリン単独投与での成績12)
健康成人に14C-リルピビリン(液剤)150mgを単回経口投与した時、投与した総放射能の85%(平均値)が糞中、6.1%(平均値)が尿中から回収された。糞中及び尿中の未変化体の割合は、それぞれ投与量の25%(平均値)及び1%未満であった。
5. 肝機能障害患者
(1)ドルテグラビル単独投与での成績13)
中等度肝機能障害(8例、Child-Pugh分類:B)を有する患者にドルテグラビル50mgを単回経口投与した時の結果は表-6のとおりであった。
薬物動態パラメータ | 健康成人(8例) | 中等度肝機能障害患者(8例) (Child-Pugh分類:B) |
---|---|---|
Cmax(μg/mL) | 1.80(49) | 1.78(17) |
AUC0-inf(μg・h/mL) | 37.3(47) | 38.5(30) |
C24(μg/mL) | 0.57(44) | 0.59(36) |
幾何平均(CV%)
(2)リルピビリン単独投与での成績14)
軽度肝機能障害(8例、Child-Pugh分類:A)及び中等度肝機能障害(8例、Child-Pugh分類:B)患者にリルピビリン25mgを1日1回反復経口投与した時の結果は表-7のとおりであった。
薬物動態パラメータ | 健康成人(8例) | 軽度肝機能障害患者(8例) (Child-Pugh分類:A) |
最小二乗幾何平均の比 [90%信頼区間] |
---|---|---|---|
Cmax(ng/mL) | 144.3(35.70) | 187.0(66.31) | 1.268 [0.9804〜1.641] |
Tmax(hr) | 5.0[3.0〜12.0] | 5.0[2.0〜24.0] | − |
AUC24(ng・hr/mL) | 2152(538.1) | 3206(1080) | 1.467 [1.144〜1.881] |
t1/2(hr) | 60.59(20.03) | 80.82(33.17)a) | − |
- 平均値(標準偏差)、Tmax:中央値[範囲]
- a)7例
薬物動態パラメータ | 健康成人(8例) | 軽度肝機能障害患者(8例) (Child-Pugh分類:B) |
最小二乗幾何平均の比 [90%信頼区間] |
---|---|---|---|
Cmax(ng/mL) | 146.8(30.21) | 143.5(49.69) | 0.9496 [0.7514〜1.200] |
Tmax(hr) | 5.0[3.0〜5.0] | 20.0[2.0〜24.0] | − |
AUC24(ng・hr/mL) | 2318(385.9) | 2525(851.2) | 1.052 [0.8379〜1.320] |
t1/2(hr) | 56.01(21.31) | 90.56(37.04)b) | − |
- 平均値(標準偏差)、Tmax:中央値[範囲]
- b)5例
6. 腎機能障害患者
(1)ドルテグラビル単独投与での成績15)
重度腎機能障害(8例、クレアチニンクリアランス:30mL/min未満)を有する患者にドルテグラビル50mgを単回経口投与した時の結果は表-8のとおりであった。
薬物動態パラメータ | 健康成人(8例) | 重度腎機能障害患者(8例) (クレアチニンクリアランス:30mL/min未満) |
---|---|---|
Cmax(μg/mL) | 1.86(45) | 1.50(34) |
AUC0-inf(μg・h/mL) | 37.1(58) | 23.5(48) |
t1/2(h) | 15.4(15) | 12.7(31) |
幾何平均(CV%)
(2)リルピビリン単独投与での成績8),12)
腎機能障害患者を対象とした試験は実施していないが、リルピビリンの腎排泄は限定的であるため、腎機能障害によりリルピビリンの排泄にほとんど影響を及ぼさないと推察される。
7. 妊婦、産婦への投与
妊娠中期のHIV-1感染患者(15例)に、リルピビリン25mgを1日1回投与した時、リルピビリンのCmax、AUC24h及びCminは、出産後(6〜12週;11例)と比較してそれぞれ21%、29%及び35%減少し、妊娠後期(13例)では、それぞれ20%、31%及び42%減少した。
8. 薬物相互作用
(1)In vitroデータ
ドルテグラビルは主にUGT1A1で、一部UGT1A3、UGT1A9でグルクロン酸抱合され9)、その他にCYP3A4でも一部代謝された10)。また、ドルテグラビルはヒトPgp及びヒトBCRPの基質であった16),17)。ドルテグラビルはヒトOAT1、OAT3、OCT2、MATE1及びMATE2-Kを介した輸送を阻害した(IC50:それぞれ2.12、1.97、1.93、6.34及び24.8μM)18),19)。
リルピビリンは主にCYP3Aにより代謝された。
(2)ドルテグラビル単独投与での成績
ドルテグラビルを併用薬と投与した時の薬物動態パラメータの変化を表-9及び表-10に示す。
併用薬及び用量 | ドルテグラビルの用量 | 例数 | ドルテグラビル併用時/非併用時の併用薬の薬物動態パラメータの幾何平均の比(90%信頼区間) | ||
---|---|---|---|---|---|
Ctau又はC24 | AUC | Cmax | |||
エチニルエストラジオール0.035mg20) | 50mg 1日2回 |
15 | 1.02 (0.93,1.11) |
1.03 (0.96,1.11) |
0.99 (0.91,1.08) |
メサドン 20-150mg21) | 50mg 1日2回 |
11 | 0.99 (0.91,1.07) |
0.98 (0.91,1.06) |
1.00 (0.94,1.06) |
ミダゾラム 3mg22) | 25mg 1日1回 |
10 | − | 0.95 (0.79,1.15) |
− |
Norelgestromin(国内未発売) 0.25mg20) | 50mg 1日2回 |
15 | 0.93 (0.85,1.03) |
0.98 (0.91,1.04) |
0.89 (0.82,0.97) |
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩 300mg 1日1回23) |
50mg 1日1回 |
15 | 1.19 (1.04,1.35) |
1.12 (1.01,1.24) |
1.09 (0.97,1.23) |
メトホルミン 500mg 1日2回24) |
50mg 1日1回 |
14 | − | 1.79 (1.65,1.93) |
1.66 (1.53,1.81) |
メトホルミン 500mg 1日2回24) |
50mg 1日2回 |
14 | − | 2.45 (2.25,2.66) |
2.11 (1.91,2.33) |
ダクラタスビル 60mg 1日1回25) |
50mg 1日1回 |
12 | 1.06 (0.88,1.29) |
0.98 (0.83,1.15) |
1.03 (0.84,1.25) |
併用薬及び用量 | ドルテグラビルの用量 | 例数 | 他剤併用時/非併用時のドルテグラビルの薬物動態パラメータの幾何平均の比(90%信頼区間) | ||
---|---|---|---|---|---|
Ctau又はC24 | AUC | Cmax | |||
アタザナビル 400mg 1日1回26) |
30mg 1日1回 |
12 | 2.80 (2.52,3.11) |
1.91 (1.80,2.03) |
1.50 (1.40,1.59) |
アタザナビル/リトナビル 300/100mg 1日1回26) |
30mg 1日1回 |
12 | 2.21 (1.97,2.47) |
1.62 (1.50,1.74) |
1.34 (1.25,1.42) |
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩 300mg 1日1回23) |
50mg 1日1回 |
15 | 0.92 (0.82,1.04) |
1.01 (0.91,1.11) |
0.97 (0.87,1.08) |
ダルナビル/リトナビル 600/100mg 1日2回27) |
30mg 1日1回 |
15 | 0.62 (0.56,0.69) |
0.78 (0.72,0.85) |
0.89 (0.83,0.97) |
エファビレンツ 600mg 1日1回28) |
50mg 1日1回 |
12 | 0.25 (0.18,0.34) |
0.43 (0.35,0.54) |
0.61 (0.51,0.73) |
エトラビリン 200mg 1日2回29) |
50mg 1日1回 |
15 | 0.12 (0.09,0.16) |
0.29 (0.26,0.34) |
0.48 (0.43,0.54) |
エトラビリン+ダルナビル/リトナビル 200mg+600/100mg 1日2回30) |
50mg 1日1回 |
9 | 0.63 (0.52,0.76) |
0.75 (0.69,0.81) |
0.88 (0.78,1.00) |
エトラビリン+ロピナビル/リトナビル 200mg+400/100mg 1日2回30) |
50mg 1日1回 |
8 | 1.28 (1.13,1.45) |
1.11 (1.02,1.20) |
1.07 (1.02,1.13) |
ホスアンプレナビル/リトナビル 700mg/100mg 1日2回31) |
50mg 1日1回 |
12 | 0.51 (0.41,0.63) |
0.65 (0.54,0.78) |
0.76 (0.63,0.92) |
ロピナビル/リトナビル 400/100mg 1日2回27) |
30mg 1日1回 |
15 | 0.94 (0.85,1.05) |
0.97 (0.91,1.04) |
1.00 (0.94,1.07) |
乾燥水酸化アルミニウムゲル/水酸化マグネシウム 20mL 単回32) | 50mg 単回 |
16 | 0.26 (0.21,0.31) |
0.26 (0.22,0.32) |
0.28 (0.23,0.33) |
乾燥水酸化アルミニウムゲル/水酸化マグネシウム 20mL 投与後2時間 単回32) | 50mg 単回 |
16 | 0.70 (0.58,0.85) |
0.74 (0.62,0.90) |
0.82 (0.69,0.98) |
総合ビタミン剤 1錠 1日1回32) | 50mg 単回 |
16 | 0.68 (0.56,0.82) |
0.67 (0.55,0.81) |
0.65 (0.54,0.77) |
炭酸カルシウム 1200mg 単回(空腹時)33) |
50mg 単回 |
12 | 0.61 (0.47,0.80) |
0.61 (0.47,0.80) |
0.63 (0.50,0.81) |
炭酸カルシウム 1200mg 単回(食後)33) |
50mg 単回 |
11 | 1.08 (0.81,1.42) |
1.09 (0.84,1.43) |
1.07 (0.83,1.38) |
炭酸カルシウム 1200mg 投与後2時間 単回33) |
50mg 単回 |
11 | 0.90 (0.68,1.19) |
0.94 (0.72,1.23) |
1.00 (0.78,1.29) |
フマル酸第一鉄 324mg 単回(空腹時)33) |
50mg 単回 |
11 | 0.44 (0.36,0.54) |
0.46 (0.38,0.56) |
0.43 (0.35,0.52) |
フマル酸第一鉄 324mg 単回(食後)33) |
50mg 単回 |
10 | 1.00 (0.81,1.23) |
0.98 (0.81,1.20) |
1.03 (0.84,1.26) |
フマル酸第一鉄 324mg 投与後2時間 単回33) |
50mg 単回 |
10 | 0.92 (0.74,1.13) |
0.95 (0.77,1.15) |
0.99 (0.81,1.21) |
オメプラゾール 40mg 1日1回34) |
50mg 単回 |
12 | 0.95 (0.75,1.21) |
0.97 (0.78,1.20) |
0.92 (0.75,1.11) |
prednisone(国内未発売) 60mg 1日1回(漸減)35) |
50mg 1日1回 |
12 | 1.17 (1.06,1.28) |
1.11 (1.03,1.20) |
1.06 (0.99,1.14) |
リファンピシンa) 600mg 1日1回36) |
50mg 1日2回a) |
11 | 0.28 (0.23,0.34) |
0.46 (0.38,0.55) |
0.57 (0.49,0.65) |
リファンピシンb) 600mg 1日1回36) |
50mg 1日2回b) |
11 | 1.22 (1.01,1.48) |
1.33 (1.15,1.53) |
1.18 (1.03,1.37) |
リファブチン 300mg 1日1回36) |
50mg 1日1回 |
9 | 0.70 (0.57,0.87) |
0.95 (0.82,1.10) |
1.16 (0.98,1.37) |
Tipranavir(国内未発売)/リトナビル 500/200mg 1日2回37) |
50mg 1日1回 |
14 | 0.24 (0.21,0.27) |
0.41 (0.38,0.44) |
0.54 (0.50,0.57) |
テラプレビル 750mg 8時間毎38) |
50mg 1日1回 |
15 | 1.37 (1.29,1.45) |
1.25 (1.20,1.31) |
1.19 (1.11,1.26) |
Boceprevir(国内未発売) 800mg 8時間毎38) |
50mg 1日1回 |
13 | 1.08 (0.91,1.28) |
1.07 (0.95,1.20) |
1.05 (0.96,1.15) |
カルバマゼピン 300mg 1日2回39) |
50mg 1日1回 |
14 | 0.27 (0.24,0.31) |
0.51 (0.48,0.55) |
0.67 (0.61,0.73) |
ダクラタスビル 60mg 1日1回25) |
50mg 1日1回 |
12 | 1.45 (1.25,1.69) |
1.33 (1.11,1.59) |
1.29 (1.07,1.57) |
- a) ドルテグラビル50mg1日2回投与とリファンピシンを併用したドルテグラビル50mg1日2回投与との比較
- a) ドルテグラビル50mg1日2回投与とリファンピシンを併用したドルテグラビル50mg1日2回投与との比較
(3)リルピビリン単独投与での成績
リルピビリンと主な薬剤の併用による薬物動態への影響を表-11及び表-12に示す。
併用薬及び用量 | リルピビリンの用量 | 例数 | リルピビリン併用時/非併用時の併用薬の薬物動態パラメータの幾何平均の比(90%信頼区間) | ||
---|---|---|---|---|---|
Cmin | AUC | Cmax | |||
ジダノシン 400mg 1日1回40) |
150mg 1日1回 |
13-21 | − | 1.12 (0.99,1.27) |
0.96 (0.80,1.14) |
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩 300mg 1日1回41) |
150mg 1日1回 |
15-16 | 1.24 (1.10,1.38) |
1.23 (1.16,1.31) |
1.19 (1.06,1.34) |
ダルナビル 800mg 1日1回42) |
150mg 1日1回 |
14-15 | 0.89 (0.68,1.16) |
0.89 (0.81,0.99) |
0.90 (0.81,1.00) |
ロピナビル 400mg 1日2回43) |
150mg 1日1回 |
15 | 0.89 (0.73,1.08) |
0.99 (0.89,1.10) |
0.96 (0.88,1.05) |
ラルテグラビル 400mg 1日2回44) |
25mg 1日1回 |
24 | 1.27 (1.01,1.60) |
1.09 (0.81,1.47) |
1.10 (0.77,1.58) |
リファブチン 300mg 1日1回45) |
150mg 1日1回 |
14-17 | 1.01 (0.94,1.09) |
1.03 (0.97,1.09) |
1.03 (0.93,1.14) |
リファンピシン 600mg 1日1回46) |
150mg 1日1回 |
15-16 | − | 0.99 (0.92,1.07) |
1.02 (0.93,1.12) |
ケトコナゾール(経口剤:国内未発売) 400mg 1日1回47) |
150mg 1日1回 |
14-15 | 0.34 (0.25,0.46) |
0.76 (0.70,0.82) |
0.85 (0.80,0.90) |
オメプラゾール 20mg 1日1回48) |
150mg 1日1回 |
15-16 | − | 0.86 (0.76,0.97) |
0.86 (0.68,1.09) |
アセトアミノフェン 500mg 単回49) |
150mg 1日1回 |
16 | − | 0.92 (0.85,0.99) |
0.97 (0.86,1.10) |
エチニルエストラジオール 0.035mg 1日1回50) |
25mg 1日1回 |
14-17 | 1.09 (1.03,1.16) |
1.14 (1.10,1.19) |
1.17 (1.06,1.30) |
ノルエチステロン 1mg 1日1回50) |
25mg 1日1回 |
14-17 | 0.99 (0.90,1.08) |
0.89 (0.84,0.94) |
0.94 (0.83,1.06) |
アトルバスタチン 40mg 1日1回51) |
150mg 1日1回 |
16 | 0.85 (0.69,1.03) |
1.04 (0.97,1.12) |
1.35 (1.08,1.68) |
クロルゾキサゾン 500mg 単回52) |
150mg 1日1回 |
16 | − | 1.03 (0.95,1.13) |
0.98 (0.85,1.13) |
シルデナフィル 50mg 単回53) |
75mg 1日1回 |
15-16 | − | 0.97 (0.87,1.08) |
0.93 (0.80,1.08) |
R(−)メサドン メサドン 60〜100mg 1日1回54) |
25mg 1日1回 |
12-13 | 0.78 (0.67,0.91) |
0.84 (0.74,0.95) |
0.86 (0.78,0.95) |
S(+)メサドン メサドン 60〜100mg 1日1回54) |
25mg 1日1回 |
12-13 | 0.79 (0.67,0.92) |
0.84 (0.74,0.96) |
0.87 (0.78,0.97) |
メトホルミン 850mg 単回55) |
25mg 1日1回 |
20 | − | 0.99 (0.94,1.04) |
1.02 (0.95,1.10) |
テラプレビル 750mg 8時間毎 1日3回56) |
25mg 1日1回 |
16 | 0.89 (0.67,1.18) |
0.95 (0.76,1.18) |
0.97 (0.79,1.21) |
シメプレビル 150mg 1日1回57) |
25mg 1日1回 |
21 | 0.96 (0.83,1.11) |
1.06 (0.94,1.19) |
1.10 (0.97,1.26) |
ジゴキシン 0.5mg 単回58) |
25mg 1日1回 |
22 | − | 0.98 (0.93,1.04) |
1.06 (0.97,1.17) |
算出不能:−
併用薬及び用量 | リルピビリンの用量 | 例数 | 他剤併用時/非併用時のリルピビリンの薬物動態パラメータの幾何平均の比(90%信頼区間) | ||
---|---|---|---|---|---|
Cmin | AUC | Cmax | |||
ジダノシン 400mg 1日1回40) |
150mg 1日1回 |
13-21 | 1.00 (0.92,1.09) |
1.00 (0.95,1.06) |
1.00 (0.90,1.10) |
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩 300mg 1日1回41) |
150mg 1日1回 |
15-16 | 0.99 (0.83,1.16) |
1.01 (0.87,1.18) |
0.96 (0.81,1.13) |
ダルナビル/リトナビル 800mg/100mg 1日1回42) |
150mg 1日1回 |
14-15 | 2.78 (2.39,3.24) |
2.30 (1.98,2.67) |
1.79 (1.56,2.06) |
ロピナビル/リトナビル 400mg/100mg 1日2回43) |
150mg 1日1回 |
15 | 1.74 (1.46,2.08) |
1.52 (1.36,1.70) |
1.29 (1.18,1.40) |
ラルテグラビル 400mg 1日2回44) |
25mg 1日1回 |
24 | 1.03 (0.96,1.12) |
1.12 (1.05,1.19) |
1.12 (1.04,1.20) |
リファブチン 300mg 1日1回45) |
150mg 1日1回 |
14-17 | 0.51 (0.48,0.54) |
0.54 (0.50,0.58) |
0.65 (0.58,0.74) |
リファブチン 300mg 1日1回59) |
25mg 1日1回 |
10-18 | 0.52 (0.46,0.59) |
0.58 (0.52,0.65) |
0.69 (0.62,0.76) |
リファブチン 300mg 1日1回59) |
50mg 1日1回 |
17-18 | 0.93 (0.85,1.01)a) |
1.16 (1.06,1.26)a) |
1.43 (1.30,1.56)a) |
ファモチジン 投与前12時間 40mg単回60) | 150mg 単回 |
22-24 | − | 0.91 (0.78,1.07) |
0.99 (0.84,1.16) |
ファモチジン 投与前2時間 40mg単回60) | 150mg 単回 |
22-24 | − | 0.24 (0.20,0.28) |
0.15 (0.12,0.19) |
ファモチジン 投与後4時間 40mg単回60) | 150mg 単回 |
22-24 | − | 1.13 (1.01,1.27) |
1.21 (1.06,1.39) |
リファンピシン 600mg 1日1回46) |
150mg 1日1回 |
15-16 | 0.11 (0.10,0.13) |
0.20 (0.18,0.23) |
0.31 (0.27,0.36) |
ケトコナゾール(経口剤:国内未発売) 400mg 1日1回47) |
150mg 1日1回 |
14-15 | 1.76 (1.57,1.97) |
1.49 (1.31,1.70) |
1.30 (1.13,1.48) |
オメプラゾール 20mg 1日1回48) |
150mg 1日1回 |
15-16 | 0.67 (0.58,0.78) |
0.60 (0.51,0.71) |
0.60 (0.48,0.73) |
アセトアミノフェン 500mg 単回49) |
150mg 1日1回 |
16 | 1.26 (1.16,1.38) |
1.16 (1.10,1.22) |
1.09 (1.01,1.18) |
アトルバスタチン 40mg 1日1回51) |
150mg 1日1回 |
16 | 0.90 (0.84,0.96) |
0.90 (0.81,0.99) |
0.91 (0.79,1.06) |
クロルゾキサゾン 500mg 単回52) |
150mg 1日1回 |
16 | 1.18 (1.09,1.28) |
1.25 (1.16,1.35) |
1.17 (1.08,1.27) |
シルデナフィル 50mg 単回53) |
75mg 1日1回 |
15-16 | 1.04 (0.98,1.09) |
0.98 (0.92,1.05) |
0.92 (0.85,0.99) |
テラプレビル 750mg 8時間毎 1日3回56) |
25mg 1日1回 |
16 | 1.93 (1.55,2.41) |
1.78 (1.44,2.20) |
1.49 (1.20,1.84) |
シメプレビル 150mg 1日1回57) |
25mg 1日1回 |
21 | 1.25 (1.16,1.35) |
1.12 (1.05,1.19) |
1.04 (0.95,1.13) |
- 未算出:−
- a)リルピビリン25mgを単剤として投与した時との比較
9. QT間隔に対する影響61),62)
リルピビリン単独投与での成績
健康成人60例を対象にリルピビリン25mg(臨床用量)を1日1回反復経口投与し、リルピビリンの定常状態時のQTcF間隔に及ぼす影響を検討した結果、QTcF間隔に対し臨床的に有意な影響は認められなかった(プラセボとの差の最大値:2.2ms)[プラセボ及び陽性対照(moxifloxacin 400mg1日1回)を用いた無作為割付クロスオーバー試験]。なお、健康成人におけるQT/QTc評価試験において、高用量のリルピビリン(75mg及び300mg)注)を1日1回反復経口投与した時、QTcF間隔のベースラインからの変化量のプラセボとの差の平均値(95%信頼区間の上限)はそれぞれ10.7(15.3)ms及び23.3(28.4)msであった。
注)リルピビリン単剤の承認されている1日用量は25mgである。
【臨床成績】
<外国人における成績>
海外で実施された抗HIV薬によりウイルス学的に抑制されている成人HIV-1感染症患者を対象とした2つの検証試験の概要は以下のとおりである。
1. 抗HIV薬によりウイルス学的に抑制されている成人HIV-1感染症患者を対象とした無作為化非盲検比較試験(SWORD-1:201636試験)63)
抗レトロウイルス療法(NRTI2剤とINSTI、NNRTI又はPIのいずれか1剤)によりウイルス学的に抑制されているHIV-1感染症患者510例を対象とした非盲検比較試験において、ドルテグラビル50mgとリルピビリン25mgの1日1回併用投与群(DTG+RPV群)に254例、現行のレジメンを継続する群(継続投与群)に256例が無作為に割り付けられた。その結果、主要評価項目である投与48週時のHIV-1 RNA量が50copies/mL未満であった被験者の割合は、継続投与群の96%に対して、DTG+RPV群は95%であり、調整した群間差の95%信頼区間の下限値(-4.3%)は、非劣性マージン(-10%)より大きく、継続投与群に対するDTG+RPV群の非劣性が示された。
なお、本試験における試験成績の要約を表-13に示した。
DTG+RPV群252例 | 継続投与群256例 | |
---|---|---|
48週 | 48週 | |
HIV-1 RNA量が50copies/mL未満 | 240例(95%) | 245例(96%) |
両群間の差(95%信頼区間)2 | −0.6%(−4.3%,3.0%) | |
ウイルス学的な治療失敗3 | 2例(<1%) | 2例(<1%) |
- Intent-to-treat-exposed population
- ベースラインの層別因子により調整
- 投与48週後にHIV-1 RNA量が50copies/mL以上であった症例、ウイルス学的効果が不十分で中止した症例、HIV-1 RNA量が50copies/mL未満ではなかったが他の理由で中止した症例、抗レトロウイルス療法を変更した症例
2. 抗HIV薬によりウイルス学的に抑制されている成人HIV-1感染症患者を対象とした無作為化非盲検比較試験(SWORD-2:201637試験)64)
抗レトロウイルス療法(NRTI2剤とINSTI、NNRTI又はPIのいずれか1剤)によりウイルス学的に抑制されているHIV-1感染症患者518例を対象とした非盲検比較試験において、ドルテグラビル50mgとリルピビリン25mgの1日1回併用投与群(DTG+RPV群)に262例、現行のレジメンを継続する群(継続投与群)に256例が無作為に割り付けられた。その結果、主要評価項目である投与48週時のHIV-1 RNA量が50copies/mL未満であった被験者の割合は、継続投与群とDTG+RPV群ともに94%であり、調整した群間差の95%信頼区間の下限値(-3.9%)は、非劣性マージン(-10%)より大きく、継続投与群に対するDTG+RPV群の非劣性が示された。
なお、本試験における試験成績の要約を表-14に示した。
DTG+RPV群261例 | 継続投与群255例 | |
---|---|---|
48週 | 48週 | |
HIV-1 RNA量が50copies/mL未満 | 246例(94%) | 240例(94%) |
両群間の差(95%信頼区間)2 | 0.2%(−3.9%,4.2%) | |
ウイルス学的な治療失敗3 | 1例(<1%) | 4例(2%) |
- Intent-to-treat-exposed population
- ベースラインの層別因子により調整
- 投与48週後にHIV-1 RNA量が50copies/mL以上であった症例、ウイルス学的効果が不十分で中止した症例、HIV-1 RNA量が50copies/mL未満ではなかったが他の理由で中止した症例、抗レトロウイルス療法を変更した症例
【薬効薬理】
1.作用機序
- ドルテグラビル
- ドルテグラビルはレトロウイルスの複製に必要な酵素であるHIVインテグラーゼの活性部位と結合し、DNAへの組込みの際のHIV-DNA鎖のトランスファーを阻害することにより、HIVインテグラーゼを阻害する。
- リルピビリン
- リルピビリンはジアリルピリミジン骨格を有し、HIV-1に作用するNNRTIである。リルピビリンは、HIV-1逆転写酵素(RT)を非競合的に阻害し、ヒトDNAポリメラーゼα、β及びγを阻害しない。
2.抗ウイルス作用(in vitro)
- ドルテグラビル
- HIV-1 BaL株及びHIV-1 NL432株に感染させた末梢血単核球を用いた時のドルテグラビルのウイルス複製に対する50%阻害濃度(IC50)はそれぞれ0.51及び0.53nMであり、HIV-1 IIIB株に感染させたMT-4細胞を用いた時のIC50は2.1nMであった。
13種のHIV-1臨床分離株(サブタイプB)のインテグラーゼコード領域を導入した組換えウイルスに対するドルテグラビルのIC50(平均値)は0.52nMであり、その活性は実験室株に対する抗ウイルス活性と同程度であった。24種のHIV-1臨床分離株[グループM(サブタイプA、B、C、D、E、F、G)及びグループO]並びに3種のHIV-2臨床分離株からなるパネル株を感染させた末梢血単核球でのドルテグラビルのIC50(幾何平均)はHIV-1株及びHIV-2株でそれぞれ0.20nM(範囲は0.02〜2.14nM)及び0.18nM(範囲は0.09〜0.61nM)であった。 - リルピビリン
- T細胞株に急性感染させたHIV-1 IIIB株に対するリルピビリンのウイルス増殖に対するIC50(中央値)は、0.73nMであった。
24種のHIV-1臨床分離株[グループM及びグループO]を感染させた末梢血単核球でのリルピビリンのIC50はそれぞれ0.07〜1.01nM、2.88〜8.45nMであった。 - ドルテグラビル+リルピビリン
- ドルテグラビル及びリルピビリンを併用したin vitro試験において、拮抗作用は認められなかった。
3.薬剤耐性
- ドルテグラビル
- 異なる由来の野生型HIV-1株を用いたin vitro耐性獲得試験において、ドルテグラビル耐性株が出現した。これらの耐性株でみられたアミノ酸変異はE92Q、G118R、S153F、S153Y、S153T、G193E及びR263Kであり、FC(各種分離株に対するIC50/野生型HIV-1株に対するIC50)の最大値は4.1であった。
- リルピビリン
- 異なる由来及びサブタイプの野生型又はNNRTI耐性HIV-1株を用いたin vitro耐性獲得試験において、リルピビリン耐性株が出現した。この耐性株で最も高頻度でみられたアミノ酸変異はL100I、K101E、V108I、E138K、V179F、Y181C、H221Y、F227C及びM230Iであった。
これまでに実施されたin vitro及びin vivoでの検討結果から、ベースライン時にK101E、K101P、E138A、E138G、E138K、E138R、E138Q、V179L、Y181C、Y181I、Y181V、Y188L、H221Y、F227C、M230I及びM230Lのアミノ酸変異を有する株は、リルピビリンの抗ウイルス作用に影響を及ぼす可能性があると考えられた。 - ドルテグラビル+リルピビリン
- 第III相海外臨床試験(SWORD-1:201636試験及びSWORD-2:201637試験)において投与48週までにウイルス学的中止基準を満たした症例は全体で4例であった。そのうち、ドルテグラビル+リルピビリン投与群の1例(アドヒアランス不良)でNNRTI耐性変異であるK101K/Eが認められたが、リルピビリンに対する感受性の低下はみられなかった(FC=1.2)。本症例においてインテグラーゼ阻害剤耐性変異は認められなかった。その他の3例では耐性変異は認められなかった。
4. 交差耐性
- ドルテグラビル
- 部位特異的変異を有する60種のINSTI耐性HIV-1ウイルスパネル株(28種は単一アミノ酸変異、32種は二重又は三重変異)を用いてドルテグラビルの抗ウイルス活性を検討した。単一のINSTI耐性変異(T66K、I151L及びS153Y)を有するウイルスでは、ドルテグラビルに対する感受性が2倍以上(2.3〜3.6倍)低下した。二重又は三重変異(T66K/L74M、E92Q/N155H、G140C/Q148R、G140S/Q148H、G140S/Q148R、G140S/Q148K、Q148R/N155H、T97A/G140S/Q148及びE138/G140/Q148)を有するウイルスでは、ドルテグラビルに対する感受性が2倍以上(2.5〜21倍)低下した。
705種のラルテグラビル耐性臨床分離株のうち93.9%の株は、ドルテグラビルに対して感受性を維持していた(FC≦10)。 - リルピビリン
- リルピビリンは、RTにK103N及びY181C等のNNRTI耐性変異を1個導入した67株のうち64株(96%)に抗ウイルス活性を示した。リルピビリンへの感受性の低下をもたらした単一のアミノ酸変異はK101P、Y181I及びY181Vであった。K103Nのアミノ酸変異は、単一ではリルピビリンに対する感受性を低下させなかったが、K103N及びL100Iの二重変異では、リルピビリンに対する感受性が7倍低下した。
エファビレンツ及びネビラピンのどちらか一方又は両方に耐性を示す4786株のHIV-1組換え型臨床分離株のうち62%の株は、リルピビリンに対して感受性を維持していた(FC≦BCO)。
【有効成分に関する理化学的知見】
- 一般名
- ドルテグラビルナトリウム(Dolutegravir Sodium)
- 化学名
- Monosodium(4R,12aS)-9-{[(2,4-difluorophenyl)methyl]carbamoyl}-4-methyl-6,8-dioxo-3,4,6,8,12,12a-hexahydro-2H-pyrido[1',2':4,5]pyrazino[2,1-b][1,3]oxazin-7-olate
- 分子式
- C20H18F2N3NaO5
- 分子量
- 441.36
- 構造式
- 性状
- 白色〜淡黄白色の粉末。水に溶けにくく、エタノール(99.5)にほとんど溶けない。
- 融点
- 1型結晶は約350℃で溶融と同時に分解する。
- 分配係数(log D)
- 2.16±0.01(23℃)
- 一般名
- リルピビリン塩酸塩(Rilpivirine Hydrochloride)
- 化学名
- 4-{[4-({4-[(1E)-2-Cyanoethenyl]-2,6-dimethylphenyl}amino)pyrimidin-2-yl]amino}benzonitrile monohydrochloride
- 分子式
- C22H18N6・HCl
- 分子量
- 402.88
- 構造式
- 性状
- 白色の粉末。メタノールに溶けにくく、エタノールに極めて溶けにくく、水にほとんど溶けない。
- 融点
- 約250℃で溶融と同時に分解する。
- 分配係数(log D)
- 分配係数
- 4.86(21℃)
取扱い上の注意
>湿気を避けるため、乾燥剤を同封した元の容器にて保存し、使用の都度、密栓すること。
【承認条件】
- 医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
- 本剤の使用に当たっては、患者に対して本剤に関して更なる有効性・安全性のデータを引き続き収集中であること等を十分に説明し、インフォームドコンセントを得るよう、医師に要請すること。
- 海外において現在実施中又は計画中の臨床試験については、終了後速やかに試験成績及び解析結果を提出すること。
- 日本人を対象とした薬物動態試験を実施し、その進捗状況を定期的に報告するとともに、終了後速やかに試験成績及び解析結果を提出すること。
- 再審査期間が終了するまでの間、原則として国内の全投与症例を対象とした製造販売後調査を実施し、本剤の使用実態に関する情報(患者背景、有効性・安全性(他剤併用時の有効性・安全性を含む)及び薬物相互作用のデータ等)を収集して定期的に報告するとともに、調査の結果を再審査申請時に提出すること。
【包装】
ジャルカ配合錠:30錠(瓶)
【主要文献】
- Zash,R.,et al., N Engl J Med., 379 (10), 979-981, (2018) »PubMed
- 社内資料:分布に関する試験(2012N137348)
- 社内資料:第I相試験(ING115381)
- 社内資料:リルピビリンの薬物動態の検討(TMC278-IFD4005)
- 社内資料:第I相試験(201676)
- 社内資料:第I相試験(201674)
- 社内資料:分布に関する試験(2011N119355)
- 社内資料:リルピビリンの蛋白結合に関する検討(TMC278-NC112)
- 社内資料:代謝に関する試験(RD2008/01339)
- 社内資料:代謝に関する試験(RD2008/00373)
- 社内資料:リルピビリンの代謝に関する検討(TMC278-NC141)
- 社内資料:リルピビリンの薬物動態の検討(TMC278-C119)
- 社内資料:第I相試験(ING113097)
- 社内資料:リルピビリンの薬物動態の検討(TMC278-C130)
- Weller,S.,et al., Eur J Clin Pharmacol., 70 (1), 29-35, (2014) »PubMed
- 社内資料:分布に関する試験(RD2008/00361)
- 社内資料:分布に関する試験(2011N112380)
- 社内資料:排泄に関する試験(2010N104937)
- 社内資料:排泄に関する試験(2013N161621)
- 社内資料:海外臨床試験(ING111855)
- 社内資料:海外臨床試験(ING115698)
- 社内資料:海外臨床試験(ING111322)
- 社内資料:海外臨床試験(ING111604)
- 社内資料:海外臨床試験(201167)
- 社内資料:海外臨床試験(201102)
- 社内資料:海外臨床試験(ING111854)
- 社内資料:海外臨床試験(ING111405)
- 社内資料:海外臨床試験(ING114005)
- 社内資料:海外臨床試験(ING111603)
- 社内資料:海外臨床試験(ING112934)
- 社内資料:海外臨床試験(ING113068)
- 社内資料:海外臨床試験(ING111602)
- 社内資料:海外臨床試験(ING116898)
- 社内資料:海外臨床試験(ING112941)
- 社内資料:海外臨床試験(ING115696)
- 社内資料:海外臨床試験(ING113099)
- 社内資料:海外臨床試験(ING113096)
- 社内資料:海外臨床試験(ING115697)
- Song I,et al., Eur J Clin Pharmacol., 72, 665-670, (2016) »PubMed
- 社内資料:ジダノシンとリルピビリンの相互作用(TMC278-C106)
- 社内資料:テノホビルとリルピビリンの相互作用(TMC278-C104)
- 社内資料:ダルナビル/リトナビルとリルピビリンの相互作用(TMC278-C112)
- 社内資料:ロピナビル/リトナビルとリルピビリンの相互作用(TMC278-C105)
- 社内資料:ラルテグラビルとリルピビリンの相互作用(TMC278-C153)
- 社内資料:リファブチンとリルピビリンの相互作用(TMC278-C125)
- 社内資料:リファンピシンとリルピビリンの相互作用(TMC278-C108)
- 社内資料:ケトコナゾールとリルピビリンの相互作用(TMC278-C127)
- 社内資料:オメプラゾールとリルピビリンの相互作用(TMC278-C114)
- 社内資料:アセトアミノフェンとリルピビリンの相互作用(TMC278-C109)
- 社内資料:エチニルエストラジオール/ノルエチステロンとリルピビリンの相互作用(TMC278-C136)
- 社内資料:アトルバスタチンとリルピビリンの相互作用(TMC278-C116)
- 社内資料:クロルゾキサゾンとリルピビリンの相互作用(TMC278-C139)
- 社内資料:シルデナフィルとリルピビリンの相互作用(TMC278-C123)
- 社内資料:メサドンとリルピビリンの相互作用(TMC278-C121)
- 社内資料:メトホルミンとリルピビリンの相互作用(TMC278IFD1004)
- Kakuda,T.,et al., The Journal of Clinical Pharmacology., 54 (5), 563-573, (2014) »PubMed
- 社内資料:シメプレビルとリルピビリンの相互作用(TMC435-C114)
- 社内資料:ジゴキシンとリルピビリンの相互作用(TMC278IFD1001)
- 社内資料:リファブチンとリルピビリンの相互作用(TMC278IFD1003)
- 社内資料:ファモチジンとリルピビリンの相互作用(TMC278-C140)
- 社内資料:リルピビリンのQT間隔に対する作用(TMC278-C152)
- 社内資料:リルピビリンのQT間隔に対する作用(TMC278-C131)
- 社内資料:海外臨床試験(201636)
- 社内資料:海外臨床試験(201637)
【資料請求先】
- グラクソ・スミスクライン株式会社
- 107-0052 東京都港区赤坂1-8-1
- ヴィーブヘルスケア株式会社
- 0120-066-525 (9:00〜17:45/土日祝日及び当社休業日を除く)
FAX:0120-128-525(24時間受付)
製造販売元(輸入)
- ヴィーブヘルスケア株式会社
- 東京都港区赤坂1-8-1
販売元
- グラクソ・スミスクライン株式会社
- 東京都港区赤坂1-8-1
|おくすりガイド|