インテレンス錠100mgの添付文書
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商品名: | インテレンス錠100mg |
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一般名: | エトラビリン |
略称 : | ETR |
添付文書の読み方
ここで提供している添付文書情報は、2011年4月18日現在の各医薬品の添付文書を基に作成したものです。書式等については、実際の添付文書と異なるところがあります。添付文書情報は随時更新されます。ご使用の際は、必ず最新の添付文書をご覧下さい。
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抗ウイルス化学療法剤
インテレンス錠100mg
INTELENCE Tablets
エトラビリン錠
2013年1月改訂(第4版)
劇薬
処方せん医薬品*
- 日本標準商品分類番号
- 87625
- 貯法:
- 室温保存
- 使用期限:
- 包装に表示
*注意―医師等の処方せんにより使用すること
承認番号 | 22000AMX02449000 |
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薬価収載 | 2009年1月 |
販売開始 | 2009年1月 |
国際誕生 | 2008年7月 |
【組成・性状】
販売名 | インテレンス錠100mg | |
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成分・含量(1錠中) | エトラビリン100mg | |
添加物 | ヒプロメロース、乳糖水和物、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸 | |
色・剤形 | 白色~微黄白色の錠剤 | |
外形 | 表面 | ![]() |
裏面 | ![]() |
|
側面 | ![]() |
|
大きさ | 長径(mm) | 19 |
短径(mm) | 9.5 | |
厚さ(mm) | 6.6 | |
重量(g) | 0.80 | |
識別記号 | TMC125 |
【効能・効果】
HIV-1感染症
《効能・効果に関連する使用上の注意》
本剤の効能・効果は、3クラスの抗HIV薬[ヌクレオシド/ヌクレオチド系逆転写酵素阻害剤(NRTI)、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)、プロテアーゼ阻害剤(PI)]の各々で1剤以上に耐性が証明されている治療経験患者を対象に実施された試験結果に基づいており、以下の点に注意すること。
- 本剤は、NNRTIを含む他の抗HIV薬に耐性が認められる場合等に使用すること。
- NNRTI及びNRTIを含む併用療法によりウイルス学的効果不十分となった患者には、本剤とNRTIのみの併用はしないこと。[「臨床成績」の項参照]
- 本剤による治療にあたっては、患者の治療歴及び可能な場合には薬剤耐性検査(遺伝子型解析あるいは表現型解析)を参考にすること。
- 抗HIV薬による治療経験のない成人HIV感染症及び小児HIV感染症に対しては、本剤投与による有効性及び安全性は確立していない。
【用法・用量】
通常、成人にはエトラビリンとして1回200mgを1日2回食後に経口投与する。投与に際しては、必ず他の抗HIV薬と併用すること。
《用法・用量に関連する使用上の注意》
- 本剤による治療は、抗HIV療法に十分な経験を持つ医師のもとで開始すること。
- ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は、感染初期から多種多様な変異株を生じ、薬剤耐性を発現しやすいことが知られているので、本剤は他の抗HIV薬と併用すること。
- 本剤と他の抗HIV薬との併用療法において、因果関係が特定できない重篤な副作用が発現し、治療の継続が困難であると判断された場合には、本剤若しくは併用している他の抗HIV薬の一部を減量又は休薬するのではなく、原則として本剤及び併用している他の抗 HIV薬の投与をすべて一旦中止すること。
【使用上の注意】
1.慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
2.重要な基本的注意
- 本剤の使用に際しては、患者又は患者に代わる適切な者に、次の事項についてよく説明し同意を得た後、使用すること。
- 本剤はHIV感染症の根治療法薬ではないことから、日和見感染を含むHIV感染症の進展に伴う疾病を発症し続ける可能性があるので、本剤投与開始後の身体状況の変化については、すべて担当医に報告すること。
- 本剤の長期投与による影響については、現在のところ不明であること。
- 本剤による治療が、性的接触又は血液汚染等による他者へのHIV感染の危険を減少させることは明らかではないこと。
- 本剤を処方どおりに毎日服用すること。また、担当医の指示なしに用量を変更したり、服用を中止したりしないこと。
- 本剤は併用薬剤と相互作用を起こすことがあるため、服用中のすべての薬剤を担当医に報告すること(「相互作用」の項参照)。また、本剤で治療中に新たに他の薬剤を服用する場合、事前に担当医に相談すること。
- 本剤の主な副作用は発疹であること。また、発疹の兆候がみられた場合には担当医に報告すること。
- 本剤服用時に、軽度から中等度の発疹が高頻度に発現することが報告されている。また、本剤の服用により、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)及び多形紅斑を含む重度の発疹が報告されている。重度の発疹があらわれた場合には、本剤の投与を直ちに中止し適切な処置を行うこと。[「重大な副作用」の項参照]
- 抗HIV薬の使用により、体脂肪の再分布/蓄積があらわれることがあるので、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
- 本剤を含む抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で、免疫再構築症候群が報告されている。投与開始後、免疫機能が回復し、症候性のみならず無症候性日和見感染(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス、サイトメガロウイルス、ニューモシスチス等によるもの)等に対する炎症反応が発現することがある。また、免疫機能の回復に伴い自己免疫疾患(甲状腺機能亢進症、多発性筋炎、ギラン・バレー症候群、ブドウ膜炎等)が発現するとの報告があるので、これらの炎症性の症状を評価し、必要時には適切な治療を考慮すること。
3.相互作用
本剤は、主に肝代謝酵素チトクロームP450(CYP3A4、CYP2C9及びCYP2C19)によって代謝される。また本剤は、CYP3A4に対して弱い誘導作用を示し、CYP2C9及びCYP2C19並びにP-糖蛋白質に対して弱い阻害作用を示す。
併用注意(併用に注意すること)
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
---|---|---|
本剤と下記の薬剤の併用により、下記の薬剤の血中濃度を低下させることがある。 | ||
アミオダロン ベプリジル ジソピラミド フレカイニド リドカイン(全身投与) メキシレチン プロパフェノン キニジン |
これらの薬剤の血中濃度が低下する可能性があるため、注意して投与すること。 | 本剤のCYP3A4誘導作用により、これらの薬剤の代謝が促進される。 |
シルデナフィル1) バルデナフィル タダラフィル |
シルデナフィル50mg(単回)を併用したとき、シルデナフィル及びN-脱メチルシルデナフィルのAUCがそれぞれ57及び41%減少した。 | 本剤のCYP3A4誘導作用により、これらの薬剤の代謝が促進される。 |
クロピドグレル | クロピドグレルの活性代謝物が減少する可能性があるので、他の薬剤による治療を考慮すること。 | 本剤のCYP2C19阻害作用により、クロピドグレルの代謝が阻害される。 |
本剤と下記の薬剤の併用により、下記の薬剤の血中濃度を上昇させることがある。 | ||
ジアゼパム | ジアゼパムの血中濃度が上昇する可能性がある。 | 本剤のCYP2C9、CYP2C19阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される。 |
経口避妊剤2) (エチニルエストラジオール、ノルエチステロン等) |
エチニルエストラジオール/ノルエチステロン35μg/1mg 1日1回を併用したとき、エチニルエストラジオールのAUCが22%増加した。これらの薬剤と併用するとき、用量を調節する必要はない。 | |
ジゴキシン3) | ジゴキシン0.5mg(単回)を併用したとき、ジゴキシンのAUCが18%増加した。ジゴキシンと併用する場合には、ジゴキシンの血中濃度のモニタリングを行うことが望ましい。 | 本剤のP-糖蛋白質阻害作用により、ジゴキシンの血中濃度が上昇する。 |
本剤と下記の薬剤の併用により、本剤の血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱することがある。 | ||
カルバマゼピン フェノバルビタール フェニトイン |
本剤の血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがあるため、併用はなるべく避けること。 | これらの薬剤の肝薬物代謝酵素誘導作用により、本剤の代謝が促進される。 |
セイヨウオトギリソウ(St. John's Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 | ||
リファンピシン | ||
リファブチン4) | リファブチン300mg 1日1回を併用したとき、本剤及びリファブチンのAUCがそれぞれ37及び17%減少した。リファブチンと併用するとき、用量を調節する必要はない。 | |
デキサメタゾン | 本剤の血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがあるため、併用するときには注意して投与すること。特に長期間使用するとき、他の薬剤を使用することを考慮すること。 | |
ラニチジン5) | ラニチジン150mg 1日2回を併用したとき、本剤のAUCが14%減少した。ラニチジンと併用するとき、用量を調節する必要はない。 | ― |
本剤と下記の薬剤の併用により、本剤の血中濃度が上昇することがある。 | ||
オメプラゾール5) | オメプラゾール40mg 1日1回を併用したとき、本剤のAUCが41%増加した。オメプラゾールと併用するとき、用量を調節する必要はない。 | オメプラゾールのCYP2C19阻害作用により、本剤の代謝が阻害される。 |
フルコナゾール6) | フルコナゾール200mg 1日1回を併用したとき、本剤のAUCが86%増加した。また、臨床試験の結果より、フルコナゾール併用時と非併用時で有害事象の発現率に差がみられなかった。フルコナゾールと併用するとき、用量を調節する必要はない。 | フルコナゾールのCYP3A4、CYP2C9及びCYP2C19阻害作用により、本剤の代謝が阻害される。 |
本剤と下記の薬剤の併用により、相互の血中濃度に影響を及ぼすことがあるので、併用する場合には必要に応じて本剤又は下記の薬剤の投与量を調節するなど注意すること。 | ||
クラリスロマイシン7) | クラリスロマイシン500mg 1日2回を併用したとき、本剤のAUCが42%増加した。また、クラリスロマイシンのAUCが39%減少し、14-水酸化クラリスロマイシンのAUCが21%増加した。14-水酸化クラリスロマイシンの抗Mycobacterium avium complex(MAC)活性が弱いため、MAC感染症の治療にはクラリスロマイシンの代替としてアジスロマイシン等を考慮すること。 | クラリスロマイシンのCYP3A4阻害作用により、本剤の代謝が阻害される。また、本剤のCYP3A4誘導作用により、クラリスロマイシンの代謝が促進される。 |
イトラコナゾール ケトコナゾール注) |
本剤の血中濃度が上昇し、イトラコナゾール又はケトコナゾールの血中濃度が低下する可能性がある。これらの薬剤と併用するとき、用量を調節する必要はない。 | これらの薬剤のCYP3A4阻害作用により、本剤の代謝が阻害される。また、本剤のCYP3A4誘導作用により、これらの薬剤の代謝が促進される。 |
ボリコナゾール6) | ボリコナゾール200mg 1日2回を併用したとき、本剤及びボリコナゾールのAUCがそれぞれ36及び14%増加した。ボリコナゾールと併用するとき、用量を調節する必要はない。 | ボリコナゾールのCYP3A4、CYP2C9及びCYP2C19阻害作用により、本剤の代謝が阻害される。また、本剤のCYP2C19阻害作用により、ボリコナゾールの代謝が阻害される。 |
アトルバスタチン8) シンバスタチン |
アトルバスタチン40mg 1日1回を併用したとき、アトルバスタチンのAUCが37%減少し、2-水酸化アトルバスタチンのAUCが27%増加した。 | 本剤のCYP3A4誘導作用により、これらの薬剤の代謝が促進される。 |
フルバスタチン | フルバスタチンの血中濃度が上昇する可能性がある。フルバスタチンの臨床効果を評価し投与量を調節するなど注意すること。 | 本剤のCYP2C9阻害作用により、フルバスタチンの代謝が阻害される。 |
ワルファリン | ワルファリンの血中濃度に影響を与える可能性がある。併用する場合には、INRのモニタリングを行うことが望ましい。 | 本剤のCYP3A4誘導作用及びCYP2C9阻害作用により、これらの薬剤の血中濃度に変化がおこることがある。 |
シクロスポリン タクロリムス |
これらの薬剤の血中濃度に影響を与える可能性があるため、注意して投与すること。 |
注)国内では外用剤のみ発売
〈抗HIV薬との相互作用〉
(1)非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)
NNRTIを2剤併用したときの有用性が示されていない。
他のNNRTIとの併用は避けることが望ましい。
(2)ヌクレオシド/ヌクレオチド系逆転写酵素阻害剤(NRTI/NtRTI)
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
---|---|---|
ジダノシン9) | 本剤(食直後投与)とジダノシン400mg 1日1回(空腹時投与)を併用したとき、本剤及びジダノシンの薬物動態に影響はみられなかった。本剤とジダノシンを併用するときは用量を調節する必要はないが、ジダノシンは空腹時に服用することが望ましいため、本剤服用の1時間前又は2時間後にジダノシンを投与するなど本剤と同時に投与しないこと。 | ― |
テノホビル10) | テノホビル(フマル酸テノホビルジソプロキシル300mg 1日1回)を併用したとき、本剤のAUCが19%減少した。本剤とテノホビルを併用するとき、用量を調節する必要はない。 | ― |
アバカビル エムトリシタビン ラミブジン サニルブジン ジドブジン |
これらの薬剤と相互作用を示さないと推察される。 | これらの薬剤は主に腎排泄型であり、本剤と排泄経路が異なる。 |
(3)プロテアーゼ阻害剤(PI)
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
---|---|---|
アタザナビル11) | アタザナビル400mg 1日1回を併用したとき、本剤のAUCが50%増加し、アタザナビルのAUCが17%減少した。ブーストしないアタザナビルとの併用は推奨されない。 | アタザナビルのCYP3A4阻害作用により、本剤の代謝が阻害される。また、本剤のCYP3A4誘導作用により、アタザナビルの代謝が促進される。 |
アタザナビル/リトナビル11) | アタザナビル/リトナビル300/100mg 1日1回を併用したとき、本剤のAUCが30%増加し、アタザナビルのAUCが14%減少した。アタザナビル/リトナビルと併用する場合には、用量を調節する必要はない。 | アタザナビルのCYP3A4阻害作用により、本剤の代謝が阻害される。また、本剤のCYP3A4誘導作用により、アタザナビルの代謝が促進される。 |
ホスアンプレナビル | 活性代謝物であるアンプレナビルの血中濃度が上昇する可能性がある。 | 機序不明 |
ホスアンプレナビル/リトナビル12) | ホスアンプレナビル/リトナビル700/100mg 1日2回を併用したとき、活性代謝物であるアンプレナビルのAUCが69%増加した。投与量を調節するなど注意すること。 | 機序不明 |
ロピナビル/リトナビル13) | ロピナビル/リトナビル(錠剤)400/100mg 1日2回を併用したとき、本剤のAUCが35%低下した。ロピナビル/リトナビルと併用する場合には、用量を調節する必要はない。 | リトナビルの肝代謝酵素誘導作用により、本剤の代謝が促進される。 |
ダルナビル/リトナビル14) | ダルナビル/リトナビル600/100mg 1日2回を併用したとき、本剤のAUCが37%減少した。併用する場合には、用量を調節する必要はない。 | ― |
サキナビル/リトナビル15) | サキナビル/リトナビル1000/100mg 1日2回を併用したとき、本剤のAUCが33%減少した。併用する場合には、用量を調節する必要はない。 | ― |
インジナビル16) | インジナビル800mg 1日3回を併用したとき、本剤のAUCが51%増加し、インジナビルのAUCが46%減少した。ブーストしないインジナビルとの併用は推奨されない。 | インジナビルのCYP3A4阻害作用により、本剤の代謝が阻害される。また、本剤のCYP3A4誘導作用により、インジナビルの代謝が促進される。 |
ネルフィナビル | ネルフィナビルの血中濃度が上昇する可能性がある。 | 本剤のCYP2C19阻害作用により、ネルフィナビルの代謝が阻害される。 |
リトナビル17) | リトナビル600mg 1日2回を併用したとき、本剤のAUCが46%減少したことから、本剤の効果が減弱するおそれがある。リトナビル600mg 1日2回との併用は推奨されない。 | リトナビルの肝代謝酵素誘導作用により、本剤の代謝が促進される。 |
ロピナビル/サキナビル/リトナビル18) | ロピナビル/サキナビル/リトナビル400/800-1000/100mg 1日2回を併用したとき、ロピナビルのAUCが18%減少し、サキナビルのAUCが13%減少した。これらを併用する場合には、用量を調節する必要はない。 | ― |
Tipranavir注)/リトナビル19) | Tipranavir/リトナビル500/200mg 1日2回を併用したとき、本剤のAUCが76%減少したことから、本剤の効果が減弱するおそれがある。また、tipranavirのAUCが18%増加した。Tipranavir/リトナビルとの併用は推奨されない。 | Tipranavir/リトナビルのCYP3A誘導作用により、本剤の代謝が促進される。 |
他のPI | ブーストしないPIとの併用は推奨されない。 | 本剤及び併用薬の肝代謝酵素誘導作用又は阻害作用により、本剤及び併用薬の血中濃度に変化が起こることがある。 |
注)国内未発売
(4)その他の抗HIV薬
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
---|---|---|
マラビロク20) |
|
本剤のCYP3A4誘導作用により、マラビロクの代謝が促進される。 |
|
CYP3A阻害作用によりマラビロクの代謝が阻害される。 | |
ラルテグラビル21) | ラルテグラビル400mg 1日2回を併用したとき、ラルテグラビルのAUCが10%減少した。併用する場合には、用量を調節する必要はない。 | ― |
Elvitegravir注)/リトナビル22) | Elvitegravir/リトナビル150/100mg 1日1回を併用したとき、本剤及びelvitegravirのAUCに影響を及ぼさなかった。本剤とelvitegravir/リトナビルを併用しても相互作用を示さないと推察される。 | ― |
Enfuvirtide注) | Enfuvirtide 90mg 1日2回を併用したとき、本剤のAUCに影響を及ぼさなかった。本剤とenfuvirtideを併用しても相互作用を示さないと推察される。 | ― |
注)国内未発売
4.副作用
前治療歴があるHIV感染症患者を対象とした外国臨床第Ⅲ相試験の併合中間解析において、本剤の推奨用法用量が投与された599例の安全性評価を行った。本剤の副作用は71.0%(425/599例)に認められた。主な副作用は、発疹16.9%(101/599例)、下痢15.0%(90/599例)及び悪心13.9%(83/599例)であった。
1)重大な副作用
- (1)重篤な皮膚障害
- 中毒性表皮壊死融解症(ToxicEpidermal Necrolysis:TEN)(0.01%未満)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(0.1%未満)、多形紅斑(0.5%未満)及び全身症状を伴う発疹を特徴とする過敏反応(頻度不明)が報告されているので、観察を十分に行い、重度の発疹及び発熱、リンパ節腫脹、肝機能障害、好酸球増加を伴う発疹等があらわれた場合には、本剤の投与を直ちに中止し、適切な処置を行うこと。
- (2)肝炎(0.2% )
- 肝炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- (3)腎不全(1.8%)、急性腎不全(0.5%)
- 腎不全、急性腎不全があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- (4)横紋筋融解症(頻度不明)
- 筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎不全の発症に注意すること。
2)その他の副作用
次のような副作用があらわれた場合には、症状に応じて適切な処置を行うこと。
種類\頻度 | 1%以上注) | 1%未満 |
---|---|---|
血液およびリンパ系障害 | 貧血、血小板減少症 | |
免疫系障害 | 過敏症、薬物過敏症、免疫再構築症候群 | |
代謝および栄養障害 | 高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、食欲不振、高脂血症、糖尿病、異脂肪血症、食欲亢進 | 食欲減退、高血糖、コントロール不良の糖尿病、高クレアチニン血症 |
精神障害 | 不眠症(5.5%)、不安、睡眠障害 | 異常な夢、悪夢、錯乱状態、失見当識、神経過敏 |
神経系障害 | 頭痛、末梢性ニューロパシー、錯感覚、ニューロパシー、傾眠 | 感覚鈍麻、振戦、健忘、記憶障害、味覚異常、失神、痙攣、灼熱感、注意力障害、過眠症 |
眼障害 | 霧視、視力低下、視覚障害、複視 | |
耳および迷路障害 | 回転性めまい | |
心臓障害 | 急性心筋梗塞、心筋梗塞、狭心症、頻脈、心房細動 | |
血管障害 | 高血圧 | |
呼吸器、胸郭および縦隔障害 | 労作性呼吸困難、気管支痙攣 | |
胃腸障害 | 下痢(15.0%)、悪心(13.9%)、嘔吐(6.8%)、腹痛、鼓腸、上腹部痛、腹部膨満、胃炎、胃食道逆流性疾患、便秘、口内乾燥、口内炎 | 下腹部痛、膵炎、吐血、レッチング |
肝胆道系障害 | 肝腫大、肝細胞融解性肝炎、脂肪肝 | |
皮膚および皮下組織障害 | 発疹(16.9%)、寝汗、脂肪肥大症、皮膚乾燥、痒疹 | 多汗症、顔面腫脹、皮膚灼熱感 |
生殖系および乳房障害 | 女性化乳房 | |
全身障害および投与局所様態 | 疲労(7.0%) | 熱感、易刺激性、倦怠感、不活発 |
臨床検査 | 血中アミラーゼ増加、血中トリグリセリド増加、ALT(GPT)増加、AST(GOT)増加、血中クレアチニン増加、リパーゼ増加、LDL増加、血中コレステロール増加 | 血中ブドウ糖増加、血中尿酸増加、ヘモグロビン減少、LDH増加、CK(CPK)増加、血圧上昇、振動検査異常、Al-P増加、脂質増加、トランスアミナーゼ上昇、肝酵素上昇 |
注)5%以上発現した副作用について頻度を記載した。
3)B型肝炎ウイルス及び/又はC型肝炎ウイルス重複感染患者
DUET-1(TMC125-C206)/DUET-2(TMC125-C216)試験の併合解析でのB型肝炎ウイルス及び/又はC型肝炎ウイルス重複感染患者140例における安全性プロファイルは、本剤群(n=72)とプラセボ群(n=68)で同様であった。グレード3~4のAST(GOT)上昇が本剤群5.7%、プラセボ群4.4%に認められ、グレード3~4のALT(GPT)上昇が本剤群7.1%、プラセボ群5.9%に認められた。また、肝胆道系障害による本剤の投与中止例は、本剤群1.4%、プラセボ群2.9%であった。
5.高齢者への投与
高齢者における本剤の有効性及び安全性は十分評価されていない。一般的に、高齢者では肝臓、腎臓及び心臓の機能が低下していること、また、合併症及び併用薬の頻度が増えることから、副作用の発現等に注意して慎重に投与すること。
6.妊婦、産婦、授乳婦等への投与
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい。[エトラビリンの動物試験(ラット、ウサギ)では催奇形性は認められていないが、類薬(エファビレンツ)の動物試験(サル)で催奇形性が報告されている。]
- 授乳中の婦人には、本剤投与中は授乳を避けさせること。[動物実験(ラット、ウサギ)23)、24)で、エトラビリンは胎児及び乳汁中に移行する可能性が報告されているが、ヒトにおける乳汁移行は不明である。]
7.小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児における安全性は確立していない。
8.過量投与
- 徴候、症状
- 過量投与に関するデータは限られている。健康成人に本剤400mgを単回投与したとき、特異的な有害事象は認められなかった。
- 処置
- 本剤に対する特別な解毒剤はない。過量投与した場合には、バイタルサイン及び臨床症状の観察など一般的な支持療法を行う。必要に応じて胃洗浄、活性炭の投与を行う。なお、本剤は透析により除去されない。
9.その他の注意
- ラットにおいて、種特異的な甲状腺ホルモンの低下が認められた25)。
- マウス及びラットを用いたがん原性試験において、雌マウスで肝酵素誘導に関連した肝腫瘍の発現率増加が認められたが、雄マウス及びラットでは認められなかった26)、27)。本所見は、げっ歯類特異的な変化であると考えられる。
- 遺伝毒性試験(in vitro及びin vivo)28)~32)においてエトラビリンは陰性であった。
【薬物動態】
<日本人における成績>
吸収・血漿中濃度33)
健康成人(10例)に本剤200mgを単回経口投与したとき、血漿中エトラビリンは投与後4時間(中央値)にCmax(0.500μg/mL)に達し、63.5時間のt1/2で消失した(表1、図1)。
薬物動態パラメータ | 平均値(標準偏差), n=10 |
---|---|
Cmax(μg/mL) | 0.500(0.162) |
tmax(h) | 4.00(2.00~5.02) |
AUC∞(μg・h/mL) | 8.04(4.62) |
t1/(2 h) | 63.5(44.1) |
tmax:中央値(範囲)
図1 本剤200mgを単回経口投与したときの血漿中エトラビリン濃度-時間推移(平均値±標準偏差, n=10)
<外国人における成績>
1.吸収・血漿中濃度
本剤を経口投与したとき、血漿中エトラビリン濃度は投与後2.5~4.0時間に最高濃度を示した後34)、35)、約41±20時間の消失半減期(t1/2)で消失した36)。
健康成人に本剤200mgを1日2回反復経口投与した4つの試験の平均Cmax及びAUC12はそれぞれ0.876~1.34μg/mL及び7.64~10.7μg・hr/mLであった7)、10)、37)、38)。
HIV-1感染患者に本剤200mgを1日2回反復経口投与した第Ⅲ相臨床試験の併合中間解析(24週)39)から得たエトラビリンの母集団薬物動態推定値を表2に示す。HIV-1感染患者におけるエトラビリンの曝露量は健康成人より低値であった。
薬物動態パラメータ | 本剤200mg 1日2回投与 n=574 |
|
---|---|---|
AUC12(μg・h/mL) | 幾何平均値 中央値(範囲) |
4.53 4.45(0.458~5.63) |
C0(μg/mL) | 幾何平均値 中央値(範囲) |
0.297 0.299(0.002~4.62) |
C0:投与直前濃度
- 食事の影響
- 本剤を空腹時に経口投与したときのエトラビリンの曝露量(AUClast)は、食後投与に比較して51%減少した。異なる内容の食事(345Kcal、脂質17g~1160Kcal、脂質70g)を摂取したときエトラビリンの曝露量に対する食事の影響は同程度であった40)。
- 制酸剤の影響
- 健康成人にラニチジン又はオメプラゾールを本剤と併用投与したとき、本剤の投与量の調節が必要な影響は認められなかった5)。
2.血漿蛋白結合率
In vitro試験におけるエトラビリンの血漿蛋白結合率は約99.9%であり、主にアルブミン(99.6%)及び血漿α1酸性糖蛋白質(97.66~99.02%)に結合した41)。
3.代謝
ヒト肝ミクロソームを用いたin vitro試験により、エトラビリンは主にCYP3A4、CYP2C9及びCYP2C19により代謝されることが示された42)。主な代謝物(dimethylbenzonitrile基の水酸化体)の野生型HIV株に対する作用は、エトラビリンに比較して少なくとも90%弱かった43)。本剤はCYP3A4を誘導し、CYP2C9及びCYP2C19を阻害する。
4.排泄
健康成人に放射能標識したエトラビリン(14C-Etravirine)800mgを経口投与したとき、投与放射能の93.7%が糞中に、1.2%が尿中に回収された。また、未変化体は糞中に81.2%~86.4%回収され、尿中には検出されなかった36)。
5.肝障害患者
軽度肝障害(Child-PughスコアA、8例)及び中等度肝障害(Child-PughスコアB、8例)患者に本剤200mgを1日2回反復経口投与したときのエトラビリンの薬物動態を健康被験者と比較したとき、顕著な差は認められなかった37)。軽度及び中等度肝障害患者では本剤の用量を調節する必要はない。なお、重度肝障害患者(Child-PughスコアC)を対象とした試験は実施していない。
6.B型肝炎ウイルス及び/又はC型肝炎ウイルス重複感染患者
DUET-1(TMC125-C206)/DUET-2(TMC125-C216)試験の母集団薬物動態解析の結果、B型肝炎ウイルス及び/又はC型肝炎ウイルスとHIV-1の重複感染患者ではエトラビリンのクリアランスが低下する傾向が示された39)。安全性プロファイルから、B型肝炎ウイルス及び/又はC型肝炎ウイルス重複感染患者に本剤を投与するとき、用量を調節する必要はない。[「副作用」の項参照]
7.腎障害患者
腎障害患者を対象とした試験は実施していないが、14C-Etravirineを経口投与したときの投与放射能の尿中排泄率は1.2%未満であり、また尿中に未変化体が検出されなかったことから、腎障害患者でエトラビリンのクリアランスが低下しないと推察される。腎障害患者に本剤を投与するとき、用量を調節する必要はない。
エトラビリンは血漿蛋白結合率が高いことから、血液透析や腹膜透析によって除去される可能性は低い。
8.高齢患者
HIV-1感染患者を対象とした母集団薬物動態解析の結果、検討した年齢範囲(18~77歳)でエトラビリンの薬物動態に顕著な差は認められなかった39)。
【臨床成績】
〈外国臨床成績〉
DUET-1(TMC125-C206)/DUET-2(TMC125-C216)試験
抗HIV薬の治療歴がある治療抵抗性の患者を対象として、プラセボを対照とした臨床第Ⅲ相二重盲検比較試験を2試験実施した。投与24週時点の併合中間解析において、本剤群599例及びプラセボ群604例を比較した。両群ともベースライン時のHIV RNA量の中央値は4.8 log10コピー/mL、本剤群とプラセボ群のCD4陽性細胞数の中央値はそれぞれ99及び109×106/Lであった。また両群ともNNRTI耐性関連変異(RAM)数の中央値は2、PI-次変異数の中央値は4であった。投与24週時における中間成績を表3に示す。
本剤群注1)(n=599) | プラセボ群注1)(n=604) | |
---|---|---|
ウイルス学的効果 | ||
HIV RNA量が<50コピー/mL | 58.9% | 41.1% |
HIV RNA量が<400コピー/mL | 74.3% | 52.5% |
HIV RNAのlog10平均減少量注2)、注3) | -2.37 | -1.69 |
CD4+細胞数の平均増加量(×106/L) | 85.6 | 66.8 |
エイズ関連疾患の発症及び死亡 | 3.7% | 6.8% |
投与24週までの投与中止 | ||
ウイルス学的治療失敗 | 32.7% | 53.1% |
有害事象 | 5.0% | 1.8% |
その他の理由 | 2.0% | 2.2% |
注1)背景治療にはダルナビル/リトナビル+NRTIs±ENFを用いた
注2)早期中止例はlog10減少量を0として集計した
注3)単位:log10コピー/mL
DUET-1/DUET-2試験でウイルス学的効果が不十分(治療失敗)である患者の本剤投与前後のRAMとして、V179D/F/T、Y181V又はG190Sが確認された。ベースライン時に最も多くみられたK103Nは本剤の効果に影響はなく、IAS-USA(2007)のNNRTI RAMを3つ以上有する場合に本剤のウイルス学的効果に減弱がみられた。NNRTI RAM数別のウイルス学的効果を表4に、また薬剤耐性検査(表現型解析)別のウイルス学的効果を表5に示す。
本剤群(n=565) | ||
---|---|---|
ENF未投与/再投与群 | ENF初回投与群 | |
全体 | 60%(251/420例) | 70%(102/145例) |
NNRTI RAM0 -2 | 66%(213/322例) | 76%(80/105例) |
NNRTI RAM ≧3 | 39%(38/98例) | 55%(22/40例) |
プラセボ群(n=593) | ||
ENF未投与/再投与群 | ENF初回投与群 | |
全体 | 34%(149/434例) | 62%(99/159例) |
注)2007 IAS-USA NNRTI RAM:V90I、A98G、L100I、K101E/P、K103N、V106A/I/M、V108I、V179D/F、Y181C/I/V、Y188C/H/L、G190A/S、P225H
Fold Change | 本剤群(n=561) | |
---|---|---|
ENF未投与/再投与群 | ENF初回投与群 | |
全体 | 60%(249/416例) | 70%(102/145例) |
0-3 | 70%(190/273例) | 82%(75/92例) |
>3-13 | 47%(37/78例) | 50%(19/38例) |
>13 | 34%(22/65例) | 53%(8/15例) |
プラセボ群(n=593) | ||
ENF未投与/再投与群 | ENF初回投与群 | |
全体 | 34%(149/434例) | 62%(99/159例) |
C227試験
NNRTI耐性を有するPI未治療患者に対しては、本剤+2NRTI投与群よりもPI+2NRTI投与群のウイルス学的効果が高いことが報告されている。臨床第Ⅱb 相非盲検群間比較試験の結果、116例のうち本剤群には59例、対照PI群には57例が登録されたが、本剤群のウイルス学的効果は対照PI群に比し低かった。これは、本剤+2NRTI投与群では、PI+2NRTI投与群に比し本剤及びNRTIに対する感受性が低かったことによると考えられた。
【薬効薬理】
1.作用機序44)~46)
エトラビリンはヒト免疫不全ウイルス・タイプ1(HIV-1)に対するNNRTIである。エトラビリンは逆転写酵素(RT)と直接結合し、DNAポリメラーゼの触媒部位を失活させることでRNA依存性及びDNA依存性のDNAポリメラーゼ作用を阻害する。エトラビリンは少なくとも2つの異なる立体配座でRTと結合する。エトラビリンはねじれやすく、複数の立体配座をとることが可能であり、また、構造がコンパクトであることから結合ポケット内での大幅な再配置及び再配向が可能である。エトラビリンはヒトDNAポリメラーゼα、β及びγを阻害しない。
2.抗ウイルス作用47)~51)
エトラビリンは、T細胞株、ヒト末梢血単核球細胞、ヒト単球/マクロファージに急性感染させた野生型HIV-1の実験室株及び臨床分離株に対して活性を示し、そのEC50値は0.9~5.5nM(0.4~2.4ng/mL)である。エトラビリンは、HIV-1の広範なグループM分離株(サブタイプA、B、C、D、E、F、G)及びグループO初代分離株に対してin vitroで抗ウイルス活性を示し、EC50値は0.7~21.7nMである。これらEC50値は、細胞毒性濃度である15~>100μMより十分に低かった。HIV-1に対するエトラビリンのEC50値は、ヒト血清存在下で5.8倍上昇した。
エトラビリンはPI(アンプレナビル、アタザナビル、ダルナビル、インジナビル、ロピナビル、ネルフィナビル、リトナビル、tipranavir及びサキナビル)、N(t)RTI(ザルシタビン、ジダノシン、サニルブジン、アバカビル及びテノホビル)、NNRTI(エファビレンツ、デラビルジン及びネビラピン)及び融合阻害剤(enfuvirtide)と相加作用を、NRTI(ジドブジン、ラミブジン及びエムトリシタビン)と相乗作用を示した。エトラビリンは検討した抗レトロウイルス剤との間に拮抗作用を示さなかった。
3.薬剤耐性52)~54)
エトラビリンは、逆転写酵素に単一のNNRTI耐性関連アミノ酸変異(出現頻度の最も高いK103N及びY181C変異を含む)を導入した65種類のHIV-1株のうち、56株に対して抗ウイルス活性を示した。最も顕著な低下を認めた変異はY181I[表現型耐性の指標であるEC50値の比fold change(FC)=13]及びY181V(FC=17)であった。複数のN(t)RTI及び/又はPI耐性関連変異を有する24種類のHIV-1株に対するエトラビリンの抗ウイルス作用は、野生型HIV-1株に対する活性と同程度であった。
エトラビリン耐性株は、異なる起源及びサブタイプの野生型HIV-1に加え、NNRTI耐性HIV-1株より分離した。エトラビリンに対する感受性の低下には、通常、逆転写酵素内に複数の変異の出現を要し、そのうちL100I、E138K、E138G、V179I、Y181C及びM230Iが高頻度で認められた。
DUET-1/DUET-2試験において、本剤を含む併用療法でウイルス学的に治療効果不十分となった患者によくみられた変異は V179F、V179I、Y181C、Y181Iであるが、これらは他の複数のNNRTI耐性関連変異と共に出現することが多かった。HIV-1感染患者を対象として実施した試験で本剤を服用した患者に最もよく出現した変異は、L100I、E138G、V179F、V179I、Y181C、H221Yであった。ウイルス学的効果不十分であった患者由来の分離株の10%未満で、エトラビリン投与により出現した他のNNRTI耐性関連変異は、K101E、 K103N、V106I/M、V108I、Y188L、V189I、G190S/C及びR356Kであった。エトラビリン投与により発現したNNRTI変異はエトラビリン感受性の低下に関与し、エトラビリンFC値は参考値から40倍、ベースライン時から6倍に上昇した。
4.交叉耐性52)、55)
NNRTI耐性関連アミノ酸変異を導入した65種類のHIV-1株のうち、3株でエトラビリンとエファビレンツの間に交叉耐性を示したが、残りの株においてエトラビリン及びエファビレンツへの感受性がそれぞれ低下する変異は異なっていた。
デラビルジン、エファビレンツ及びネビラピンに耐性を有する6171株の臨床分離株の83%に対し、エトラビリンのEC50値は10nMより低かった。DUET-1/DUET-2試験ではベースライン時に分離された細胞株の35%にエトラビリンに対する感受性低下(FC> 3)がみられ、同様に分離株の61%、71%及び79%にデラビルジン、エファビレンツ、ネビラピンに対する感受性低下がみられた。エトラビリンを含む併用治療にて治療効果不十分となった患者から分離された細胞株に対し、デラビルジン、エファビレンツ若しくはネビラピンとの交叉耐性が生じることが予想された。
【有効成分に関する理化学的知見】
- 一般名
- エトラビリン(Etravirine)
- 化学名
- 4-[6-amino-5-bromo-2-(4-cyanoanilino)pyrimidin-4-yloxy]-3,5-dimethylbenzonitrile
- 分子式
- C20H15BrN6O
- 分子量
- 435.28
- 化学構造式
- 性状
- 白色~微黄褐色の粉末
- 溶解性
- N,N-ジメチルホルムアミドに溶けやすく、アセトンにやや溶けにくく、メタノール、エタノール(99.5)及びジエチルエーテルに溶けにくく、水にほとんど溶けない。
- 融点
- 約259℃(分解)
- 分配係数
- LogP>5(1-オクタノール/pH7緩衝液)
【承認条件】
- 本剤の使用に当たっては、患者に対して本剤に関して更なる有効性・安全性のデータを引き続き収集中であること等を十分に説明し、インフォームドコンセントを得るよう、医師に要請すること。
- 海外において現在実施中又は計画中の臨床試験については、終了後速やかに試験成績及び解析結果を提出すること。
- 再審査期間が終了するまでの間、原則として国内の全投与症例を対象とした製造販売後調査を実施し、本剤の使用実態に関する情報(患者背景、有効性・安全性(他剤併用時の有効性・安全性を含む。)及び薬物相互作用のデータ等)を収集して定期的に報告するとともに、調査の結果を再審査申請時に申請書添付資料として提出すること。
【包装】
インテレンス錠100mg:120錠(バラ、乾燥剤入り)
【主要文献及び文献請求先】
〈主要文献〉
- エトラビリンとシルデナフィルの相互作用の検討(社内資料TMC125-C159)
- エトラビリンとエチニルエストラジオール/ノルエチステロンの相互作用の検討(社内資料TMC125-C166)
- エトラビリンとジゴキシンの相互作用の検討(社内資料TMC125-C180)
- エトラビリンとリファブチンの相互作用の検討(社内資料TMC125-C156)
- エトラビリンとラニチジン及びオメプラゾールの相互作用の検討(社内資料TMC125-C120)
- エトラビリンとフルコナゾール及びボリコナゾールの相互作用の検討(社内資料TMC125-C187)
- エトラビリンとクラリスロマイシンの相互作用の検討(社内資料TMC125-C171)
- エトラビリンとアトルバスタチンの相互作用の検討(社内資料TMC125-C164)
- エトラビリンとジダノシンの相互作用の検討(社内資料TMC125-C157)
- エトラビリンとテノホビルの相互作用の検討(社内資料TMC125-C177)
- エトラビリンとアタザナビルの相互作用の検討(社内資料TMC125-C151)
- エトラビリンとホスアンプレナビル/リトナビルの相互作用の検討(社内資料TMC125-C117)
- エトラビリンとロピナビル/リトナビルの相互作用の検討(社内資料TMC125-C197)
- エトラビリンとダルナビル/リトナビルの相互作用の検討(社内資料TMC125-C176)
- エトラビリンとサキナビル/リトナビルの相互作用の検討(社内資料TMC125-C123)
- エトラビリンとインジナビルの相互作用の検討(社内資料TMC125-C111)
- エトラビリンとリトナビルの相互作用の検討(社内資料TMC125-C105)
- エトラビリンとロピナビル/サキナビル/リトナビルの相互作用の検討(社内資料TMC125-C145)
- エトラビリンとtipranavir/リトナビルの相互作用の検討(社内資料TMC125-C161)
- エトラビリンとマラビロクの相互作用の検討(社内資料TMC125-C181)
- エトラビリンとラルテグラビルの相互作用の検討(社内資料TMC125-C179)
- エトラビリンとelvitegravir/リトナビルの相互作用の検討(社内資料TMC125-C184)
- エトラビリンの組織内分布試験(社内資料TMC125-NC194)
- エトラビリンの生殖発生毒性試験(社内資料TMC125-NC124)
- エトラビリンの反復投与毒性試験(社内資料TMC125-NC140)
- エトラビリンのがん原性試験(社内資料TMC125-NC148)
- エトラビリンのがん原性試験(社内資料TMC125-NC147)
- エトラビリンの遺伝毒性試験(社内資料TMC125-Exp5081)
- エトラビリンの遺伝毒性試験(社内資料TMC125-NC130)
- エトラビリンの遺伝毒性試験(社内資料TMC125-Exp5091)
- エトラビリンの遺伝毒性試験(社内資料TMC125-NC122)
- エトラビリンの遺伝毒性試験(社内資料TMC125-NC120)
- エトラビリンの薬物動態の検討(社内資料JNS025-JPN-01)
- エトラビリンの薬物動態の検討(社内資料TMC125-C206)
- エトラビリンの薬物動態の検討(社内資料TMC125-C216)
- エトラビリンの薬物動態の検討(社内資料TMC125-C130)
- エトラビリンの薬物動態の検討(社内資料TMC125-C125)
- エトラビリンの薬物動態の検討(社内資料TMC125-C178)
- エトラビリンの薬物動態の検討(社内資料TMC125-C929)
- エトラビリンの薬物動態に及ぼす食事の影響(社内資料TMC125-C147)
- エトラビリンの蛋白結合率の検討(社内資料TMC125-NC143)
- エトラビリンの代謝の検討(社内資料TMC125-NC210)
- エトラビリンの代謝物の活性の検討(社内資料CB-SR-00052-AVE-NNRTI)
- エトラビリンの作用機序(社内資料TMC125-0006-VRR)
- Das, K., et al.:J. Med. Chem., 47, 2550, 2004
- エトラビリンの作用機序(社内資料TMC125-0020-VRR)
- エトラビリンの抗ウイルス作用(社内資料TMC125-0001-VRR)
- エトラビリンの抗ウイルス作用(社内資料TMC125-0008-VRR)
- エトラビリンの抗ウイルス作用(社内資料TMC125-0002-VRR)
- エトラビリンの抗ウイルス作用(社内資料TMC125-0003-VRR)
- エトラビリンの抗ウイルス作用(社内資料TMC125-0004-VRR)
- エトラビリンの交叉耐性(社内資料TMC125-0011-VRR)
- エトラビリンの薬剤耐性(社内資料TMC125-0009-VRR)
- エトラビリンの薬剤耐性(社内資料TMC125-0010-VRR)
- エトラビリンの交叉耐性(社内資料TMC125-0012-VRR)
〈文献請求先・製品情報お問い合わせ先〉
主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求ください。
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製造販売元
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〒101-0065東京都千代田区西神田3-5-2
提携
Tibotec Pharmaceuticals Ltd.
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