XIIHIV/HBV共感染者での抗HIV療法

10.HBV再活性化

 HIV共感染に限らずHBV感染患者において免疫抑制・化学療法などによりHBVが再増殖することがある。これはHBV再活性化と称し、各肝臓疾患ガイドライン16-18)において重要事項と位置付けられており、日本肝臓学会B型肝炎治療ガイドライン18)から引用して本章に掲載する。HBV再活性化はキャリアからの再活性化と既往感染者(HBs抗原陰性、かつHBc抗体またはHBs抗体陽性)からの再活性化に分類される。既往感染者からの再活性化による肝炎は、「de novo B型肝炎」と称される。HBV再活性化による肝炎は重症化しやすいだけでなく、肝炎の発症により原疾患の治療を困難にさせるため、発症そのものを阻止することが最も重要である。免疫抑制・化学療法を行う際には図XII-1にそった対策をとる必要がある。この対策は厚生労働省研究班による「免疫抑制・化学療法により発症するB型肝炎対策ガイドライン(改訂版)」32, 33)に基づいている18)。なお、DHHSガイドラインでは、免疫抑制・化学療法を開始する前にHBs抗原陽性であれば、TDFもしくはTAFと3TCもしくはFTCをバックボーンにしたARTを開始しておくとしている14)。また、HBs抗体陰性、HBc抗体陽性の場合には、エビデンスはないが同様にARTを開始しておくことが賢明であるとしている(BIII)14)。何らかの理由でTDFもしくはTAFが使用できない場合には、それらを含まないARTレジメンにエンテカビルを併用して開始しておくか、モニタリングでHBV-DNAが検出されるなどの再活性化の兆候が見られた時点でエンテカビルを併用する14)。日本肝臓学会B型肝炎治療ガイドラインには対象薬剤が掲載されているが、新規薬剤に関するHBV再活性化に関する情報は、医薬品医療機器総合機構による副作用情報(https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/adr-info/0001.html)などで確認していただきたい18)

図XII-1 免疫抑制・化学療法により発症するB型肝炎対策ガイドライン
B型肝炎対策の方式を示したフロー図。「スクリーニング(全例)Hbs抗原(注1)」から二つに分かれ、「HBs抗原(+)」の場合(注2)、「HBe抗原、HBe抗体、HBV DNA定量」へ進み、「核酸アナログ投与」を行う(注2,6,8,9,10)。「HBs抗原(+)」の場合、「HBc抗体、HBs抗体」へ進み、結果によって分岐する。「HBc抗体(ー)かつHBs抗体(ー)」の場合(注3)「通常の対応」を行う。「HBc抗体(+)またはHBs抗体(+)」の場合、「HBV DNA定量(注4)」へ進み、結果によって分岐する。「20IU/mL(1.3LogIU/mL)以上」の場合、「核酸アナログ投与」を行う(注6)。「20IU/mL(1.3LogIU/mL)未満」の場合、「モニタリング HBV DNA定量 1回/1~3か月 AST/ALT 1回/1~3か月(治療内容を考慮して間隔・期間を検討する)」へ進む(注5 a,b,c)。「20IU/mL(1.3LogIU/mL)未満」の場合、「20IU/mL(1.3LogIU/mL)以上」になるまでモニタリングを繰り返し、条件を満たしたら「核酸アナログ投与」を行う(注7)。

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